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猫に狂犬病ワクチンは必要?義務と接種の実際

2026 6/10
PR
猫(ねこまめ)
2026/05/112026/06/10
猫に狂犬病ワクチンは必要?義務と接種の実際

「猫にも狂犬病ワクチンって必要なの?」——犬には法律で義務付けられているのに、猫はどうなのか気になる飼い主さんは多いはずです。結論から言うと、**日本国内では猫への狂犬病ワクチン接種は法律上の義務がなく、国内承認ワクチンも存在しません**。ただし、海外渡航時や海外からの持ち込み時には接種が必須になるケースがあります。この記事では、猫と狂犬病ワクチンの法的義務・感染リスク・国内での接種事情・海外渡航時の手続きを、獣医学的根拠をもとにわかりやすく解説します。

目次

狂犬病ワクチンは猫に義務付けられているの?

日本の法律上の義務は「犬のみ」

日本では狂犬病予防法(昭和25年施行)によって、狂犬病ワクチンの接種が義務付けられているのは犬だけです。猫・うさぎ・フェレット・その他のペットには法律上の接種義務はありません。毎年4〜6月に自治体が実施する集合注射や動物病院での「狂犬病予防注射」の案内も、対象は飼い犬に限定されています。

そのため、猫に狂犬病ワクチンを接種しなくても日本国内では法律違反にはなりません。ただし「義務がないから完全に不要」とは言い切れない状況もあり、飼育環境や渡航予定によって判断が変わります。

なぜ猫は義務の対象外なのか

日本で猫が狂犬病ワクチン接種の義務対象外となっている主な理由は以下のとおりです。

・日本は1956年を最後に国内感染例がない「狂犬病清浄国」を約70年間維持していること

・猫は犬に比べて行動範囲が管理しやすく、感染源となる野生動物(コウモリ・アライグマ等)との直接接触リスクが低いと判断されていること

・完全室内飼いが普及しており、感染経路となる野生動物との接触機会がさらに限定されること

ただしこれは「現時点の国内状況」に基づく判断です。狂犬病ウイルスは世界で年間約5万9,000人(WHO推計)の死者をもたらす感染症であり、日本の清浄国の地位は厳格な水際対策によって維持されているという事実を忘れてはいけません。

補足・参考

厚生労働省の資料によると、日本での最後の狂犬病国内感染例は1956年。その後も2006年・2020年に海外渡航者が帰国後に発症・死亡した輸入症例があり、狂犬病は「過去の病気」ではなく現在進行形の輸入感染症リスクとして認識する必要があります。

猫が狂犬病に感染するリスクはあるの?

猫も感染し得る動物である

狂犬病ウイルスはすべての哺乳類に感染する可能性があります。猫も例外ではなく、感染した野生動物(コウモリ・アライグマ・キツネ等)に噛まれることで感染します。WHOの報告では、アジア・アフリカ・中南米などの非清浄国において猫が狂犬病の媒介動物となるケースが複数記録されており、日本に持ち込まれるリスクも皆無ではありません。

日本国内で完全室内飼いをしている猫は野生動物と接触する機会がほぼないため、感染リスクは極めて低いと考えられています。一方、脱走の可能性がある猫や外出の機会がある猫については、リスクをゼロとは言い切れません。

室内飼いでもゼロではないリスク

「完全室内飼い」であっても、以下のような状況では注意が必要です。

・ベランダへ出る機会がある(コウモリとの接触リスクあり)

・引っ越しや旅行の際に屋外と接触する機会がある

・台風・地震などの緊急時に脱走するリスクがある

・多頭飼いで外来歴不明の保護猫を迎え入れることがある

特に災害時はパニックになった猫が脱走し、野生動物と接触するケースが報告されています。環境省の調査でも、大規模災害後のペット逸走件数は増加しており、「リスクがあり得る」という平時からの意識が重要です。

編集部の一言

室内飼いだからといって完全に安心とは言えません。マイクロチップ(2022年6月より販売目的の繁殖業者への装着義務化)の装着や迷子札の活用とあわせて、万が一の脱走リスクへの備えを日頃から整えておきましょう。

日本国内で猫に狂犬病ワクチンを接種することはできるの?

国内では猫用の承認ワクチンが存在しない

日本国内において、猫向けに農林水産省が承認・販売を認めた狂犬病ワクチンは現時点で存在しません。犬用狂犬病ワクチンは複数の承認製品がありますが、猫への使用を想定した国内承認製品はなく、「猫に狂犬病ワクチンを接種したい」という希望があっても通常の流通経路では対応できない状況です。

一部の動物病院では海外から輸入した製品を用いるケースが限定的にありますが、ごく例外的な対応であり一般的な選択肢とはなっていません。海外渡航の予定がある場合は、早めにかかりつけ医に相談し、必要な手続きと接種スケジュールを確認することが重要です。

通常の猫のワクチン接種と狂犬病ワクチンは別物

猫に推奨される定期ワクチンと狂犬病ワクチンはまったく別のものです。猫のワクチン接種として一般的に推奨されているのは以下のとおりです。

ワクチンの種類 対象疾患 接種推奨
3種混合ワクチン(コアワクチン) 猫ヘルペスウイルス感染症・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症 全猫に推奨
4種混合ワクチン 上記+猫クラミジア感染症 リスクに応じて
猫白血病ウイルス(FeLV)ワクチン 猫白血病ウイルス感染症 外出・多頭飼いの猫に推奨
狂犬病ワクチン 狂犬病 日本国内では猫用承認製品なし

愛猫の健康を守るため、まずはかかりつけの動物病院でコアワクチン(3種混合)の定期接種スケジュールを確認することをおすすめします。

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猫を海外に連れて行く場合・海外から連れてくる場合

海外渡航先では狂犬病ワクチンが必須になる場合がある

海外へ猫を連れて行く場合や、海外から日本へ猫を持ち込む場合は話が大きく変わります。多くの国で猫への狂犬病ワクチン接種が入国条件として義務付けられており、証明書類が不備だと入国拒否や長期隔離の対象になります。

代表的なケースは以下のとおりです。

・EU諸国: マイクロチップ装着済みの猫への狂犬病ワクチン接種と中和抗体価検査(0.5 IU/mL以上)が必要

・アメリカ: 州によって異なるが、狂犬病非清浄国からの猫の持ち込み時は接種証明が必要な場合がある

・オーストラリア・ニュージーランド: 非常に厳格な検疫規定があり、猫の持ち込みには事前申請・長期隔離期間(最長180日)が設けられる

また、海外在住の猫を日本に連れ帰る場合も、農林水産省動物検疫所が定めるルールに基づく狂犬病ワクチン接種・抗体検査・マイクロチップ装着・待機期間などの手続きがすべて必要です。

注意

海外渡航・帰国時の猫の手続きは国・地域によって異なり、条件不備の場合は長期隔離または持ち込み拒否になることがあります。渡航前に農林水産省動物検疫所の公式ページおよび渡航先国の大使館・農業省の最新規定を必ず確認してください。

日本に猫を持ち込む場合のフロー(概要)

農林水産省動物検疫所の規定に基づくと、海外から猫を日本に持ち込む際には大まかに以下のステップが必要です。

① マイクロチップの装着(ISO規格11784/11785準拠)

② 狂犬病ワクチンの接種(2回以上、指定間隔を遵守)

③ 狂犬病中和抗体検査(農林水産省指定の検査機関で実施、0.5 IU/mL以上が条件)

④ 抗体価確認後の待機期間(180日間、この期間は省略不可)

⑤ 日本到着時の動物検疫所への届出・審査(到着40日前までの事前届出が必要)

③の抗体検査と④の180日間待機は省略できないため、渡航計画は少なくとも半年以上前から準備を始めることが必須です。手続きに不備があった場合、到着後に最長180日間の係留検査が課されます。

猫と暮らす上で知っておきたい感染症対策の基本

定期的なワクチン接種で健康をサポートする

狂犬病ワクチンは現時点で国内の猫に義務も承認製品もありませんが、猫が感染するほかの感染症への備えとして定期的なワクチン接種は欠かせません。特にコアワクチン(3種混合)は、室内飼いの猫にも感染リスクのある猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス・猫汎白血球減少症(パルボウイルス)をカバーしており、感染すると致死率が高い猫汎白血球減少症は予防接種による防御効果が非常に高いとされています。

接種頻度については、世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインに基づく「子猫期に複数回の初回シリーズ、その後は3年ごとのブースター接種」という考え方が日本でも広まっています。かかりつけの動物病院と相談しながら、愛猫の健康状態に合ったスケジュールを組みましょう。

外出する猫にはノミ・ダニ対策とあわせて

外出機会がある猫は室内飼いの猫より感染症リスクが高まります。ワクチン接種に加え、マダニ・ノミの定期的な駆除薬使用も重要です。マダニはSFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウイルスを媒介し、猫から飼い主への感染事例も国内で複数報告されています。猫の健康を守ることは、飼い主自身の健康管理にも直結します。

多頭飼いの場合は新入り猫の健康チェックを丁寧に

保護猫を迎え入れるなど多頭飼いをしている場合は、新しい猫を迎える前に動物病院で健康診断を受けさせることを強くおすすめします。猫エイズ(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)は感染猫との接触で先住猫に広がるリスクがあり、特にFeLVは感染後の平均生存期間が2〜3年とされるため、早期検査と隔離が先住猫を守る上で重要なプロセスです。

編集部の一言

多頭飼いでは1頭が感染症を持ち込むと一気に広がるリスクがあります。新入り猫は最低1〜2週間を別室で過ごすトライアル期間を設けることが推奨されています。急な通院費用への備えとして、ペット保険の活用も検討してみてください。

動物病院での相談ポイント

「猫に狂犬病ワクチンは必要か」をかかりつけ医に相談する

国内で猫への狂犬病ワクチン接種が一般的でないとはいえ、飼育環境・ライフスタイル・海外渡航の有無によって必要性の判断は異なります。「海外に連れて行く可能性がある」「外出する機会がある」「保護猫を迎えた」といった状況をかかりつけ医に伝え、個別のリスク評価を依頼することが最善の対応です。

獣医師は猫の健康状態・生活環境・渡航計画を総合的に判断し、適切なアドバイスをしてくれます。「必要ないかもしれないけれど念のため確認したい」という段階での相談も大歓迎です。早めに相談することでワクチンスケジュールや検疫手続きをスムーズに進めることができます。

年1回の健康診断を習慣にする

ワクチン接種のタイミングは定期健康診断の好機でもあります。年1回の動物病院での全身チェックにより、ワクチンスケジュールの確認に加えて体重変化・歯の状態・血液検査による内臓機能の評価など幅広い健康管理が可能です。猫は不調を隠す習性があり、症状が表れた時点で病気が進行しているケースも少なくないため、定期的なプロのチェックが早期発見・早期治療に直結します。

補足・参考

WSAVAワクチンガイドラインでは、コアワクチンの初回接種シリーズ完了後は免疫持続期間を考慮して3年ごとのブースター接種を推奨しています。ただし生後16週以降の初回接種完了から1年後に追加接種を行うプロトコルも一般的であり、最終的な接種スケジュールはかかりつけ医との相談のもとで決定してください。

よくある質問

猫に狂犬病ワクチンを打たないと罰則はありますか?

日本の狂犬病予防法における接種義務は犬にのみ適用されます。猫には法律上の接種義務がないため、打たなくても罰則はありません。ただし、海外への渡航時や海外からの持ち込み時には、渡航先の法律や日本の動物検疫規定に基づいてワクチン接種・抗体価検査・待機期間が必要になるケースがあります。猫を海外に連れ出す・連れ帰る予定がある場合は、早めに農林水産省動物検疫所へ確認することを強く推奨します。

猫が噛まれて狂犬病が心配な場合はどうすればいいですか?

野良猫や野生動物(コウモリ・アライグマなど)に噛まれた場合は、まず傷口を流水と石けんで15分以上しっかり洗い流し、速やかに動物病院または内科・感染症科を受診してください。WHOのガイドラインでも「咬傷直後の十分な洗浄」が最も重要な初期対応とされています。日本国内での感染リスクは現状極めて低いですが、海外渡航歴がある動物に噛まれた場合などは医療機関での相談が最善です。

海外から日本に猫を連れてくる場合、狂犬病ワクチンはいつ打てばいいですか?

日本への持ち込みには「マイクロチップ装着→狂犬病ワクチン2回接種→抗体価検査(0.5 IU/mL以上)→180日間の待機」という手順が必要で、この待機期間は一切省略できません。つまり最低でも帰国の約6か月以上前から手続きを開始する必要があります。帰国・移住の予定が決まった時点で、農林水産省動物検疫所の公式サイト(maff.go.jp)で最新要件を確認し、できる限り早く動物病院に相談してください。

猫の通常ワクチン(3種混合)に狂犬病は含まれていますか?

含まれていません。猫の3種混合ワクチン(コアワクチン)は猫ヘルペスウイルス感染症・猫カリシウイルス感染症・猫汎白血球減少症の3疾患を対象としたものです。狂犬病ワクチンは全く別のワクチンであり、さらに日本国内では猫向けに薬事承認された狂犬病ワクチン製品が現時点で存在しないため、国内では通常の猫ワクチン接種のメニューに含まれることはありません。

室内飼いの猫でも狂犬病のリスクはありますか?

日本国内で完全室内飼いをしている猫の狂犬病感染リスクは、現状では極めて低いと考えられています。日本は1957年以降、国内発生ゼロを維持する狂犬病清浄国です。ただし、ベランダへのアクセスや脱走リスクがある場合、または海外渡航・帰国を伴う場合はわずかながらリスクが生じます。不安な点はかかりつけの獣医師に相談し、愛猫の生活環境に合ったリスク管理を行いましょう。

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まとめ|猫と狂犬病ワクチン、国内外で異なる必要性を正しく理解しよう

この記事のまとめ

・日本の狂犬病予防法による接種義務は犬のみ。猫への義務はなく、接種しなくても罰則はない

・日本国内では猫向けに薬事承認された狂犬病ワクチンは現時点で存在しない

・日本は1957年以降、国内発生ゼロの狂犬病清浄国。室内飼いの猫の感染リスクは極めて低いが、ゼロではないケースも把握しておく

・海外渡航・海外からの持ち込みでは狂犬病ワクチン接種・抗体価検査(0.5 IU/mL以上)・180日間の待機期間が必要になるケースが多い

・猫の健康管理の基本は、コアワクチン(3種混合)の定期接種と年1回の健康診断。これは狂犬病とは別に継続しよう

・具体的な接種スケジュールや海外渡航の手続きは、かかりつけの動物病院または農林水産省動物検疫所(公式サイト: maff.go.jp)に相談する

「猫に狂犬病ワクチンは必要か」という問いへの答えは、飼育環境・ライフスタイル・海外渡航の有無によって異なります。日本国内で完全室内飼いをしているだけであれば、現状では法的義務も一般的な接種ルートも存在しません。一方、海外をまたぐシーンでは早期の準備が不可欠です。愛猫の日常的な健康管理として3種混合ワクチンの定期接種と年1回の健康診断を継続しつつ、海外渡航計画がある際は早めにかかりつけ獣医師へ相談し、適切なケアを続けていきましょう。

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