犬のレプトスピラ症とは?症状・感染経路・ワクチンで予防する方法【2026年】

愛犬が散歩中に水たまりやぬかるみに触れる機会は多いですが、その行動が犬のレプトスピラ症感染リスクと直結しています。レプトスピラ症は犬と人の両方に感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)で、重症例では致死率が高く、早期発見・早期治療が生死を左右します。この記事では、犬のレプトスピラ症の症状・感染経路・致死率・ワクチンの選び方を2026年最新情報をもとに解説します。接種が必要かどうかの判断材料としてお役立てください。
レプトスピラ症とは?知っておきたい基礎知識
犬のレプトスピラ症は、らせん状の細菌「レプトスピラ属菌」によって引き起こされる感染症です。犬だけでなく人を含む多くの哺乳類に感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)として知られています。
原因となる細菌の特徴
レプトスピラ属菌は水分の多い温暖な環境を好み、河川・湖沼・ぬかるんだ土壌・水たまりなどのじめじめした環境で長期間生存します。日本では夏〜秋、特に大雨や台風の直後に感染リスクが高まります。
この細菌には世界で200種類以上の血清型(serovar)が確認されており、血清型によって症状の重さや感染しやすい動物が異なります。ワクチン選択の際にも重要な判断材料となります。
人にも感染する人獣共通感染症
レプトスピラ症は、感染動物の尿や尿で汚染された水・土壌を介して人にも感染します。人が感染した場合は「ワイル病」や「秋疫(あきやみ)」と呼ばれる病態を示すことがあり、日本では感染症法に基づく届出対象疾患に指定されています。
注意
愛犬がレプトスピラ症に感染した場合、その尿を介して同居する家族にも感染するおそれがあります。感染が疑われる際は必ず動物病院を受診し、家庭内での手洗い・消毒を徹底してください。
感染が報告されやすい地域・環境
犬のレプトスピラ症は、ネズミなどの野生動物が多い地域や、河川敷・田畑・山林に近い環境で報告されやすい傾向があります。都市部でもドブネズミや下水を介した感染リスクはゼロではなく、特に水辺で活動する機会が多い犬は注意が必要です。
レプトスピラ症の主な症状3つのタイプ
犬のレプトスピラ症の症状は、感染した血清型や犬の免疫状態によって大きく異なります。代表的な3つのタイプに分けて解説します。
1. 出血型(最も重篤になりやすい)
出血型は最も重篤になりやすいタイプで、高熱・嘔吐・血便・歯ぐきの出血などが見られます。発症から数日で命に関わるケースもあり、早期受診が極めて重要です。
2. 黄疸型(肝臓への影響が強い)
黄疸型は肝臓への強いダメージにより、皮膚・白目・歯ぐきが黄色く変色する「黄疸」が特徴です。食欲不振・元気消失・嘔吐を伴い、尿色が濃くなることもあります。肝機能が低下すると全身状態が急速に悪化します。
3. 尿毒症型(腎臓への影響が強い)
尿毒症型は腎臓への影響が中心で、多飲多尿・脱水・嘔吐・口内潰瘍などが見られます。腎機能が著しく低下すると尿が出なくなり、全身に毒素が蓄積する「尿毒症」に至ることがあります。慢性的な腎障害が残るケースもあります。
| タイプ | 主な症状 | 影響を受けやすい臓器 |
|---|---|---|
| 出血型 | 高熱・嘔吐・血便・出血 | 全身(血管・消化管) |
| 黄疸型 | 黄疸・食欲不振・濃い尿 | 肝臓 |
| 尿毒症型 | 多飲多尿・脱水・嘔吐 | 腎臓 |
補足・参考
レプトスピラ症は初期症状が「元気がない」「食欲がない」「発熱」など他の病気と区別しにくいのが特徴です。気になる症状があれば自己判断せず、早めに動物病院へ相談してください。
レプトスピラ症の感染経路4つ
犬のレプトスピラ症がどのように感染するかを知ることは、日常のリスク管理に直結します。主な感染経路を4つに整理しました。
1. 汚染された水との接触
最も代表的な感染経路が、感染動物の尿で汚染された水との接触です。河川・池・水たまりで遊んだりその水を飲んだりすることで、細菌が口や粘膜から体内に侵入します。水辺での散歩が多い犬は特にリスクが高まります。
2. 感染動物の尿との接触
ネズミなどの野生動物や感染した犬の尿に直接触れることでも感染します。細菌は皮膚の小さな傷や目・口・鼻の粘膜から侵入します。地面のにおいを嗅ぐ習性のある犬は接触機会が多くなります。
3. 汚染された土壌・泥
細菌は湿った土壌や泥の中でも一定期間生存します。ぬかるみを歩いたり泥を口にしたりすることで感染します。大雨の後は地面に細菌が広がりやすい状態になるため特に注意が必要です。
4. 経口感染・傷口からの侵入
汚染された水や食べ物を口にすることで感染するほか、皮膚に傷がある場合はそこから細菌が直接侵入することもあります。アウトドアやキャンプなど自然の多い場所へ犬を連れて行く際は特に意識しておきたい経路です。
| 感染経路 | リスクが高まる状況 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 汚染された水 | 水辺の散歩・水遊び | 水場を避ける |
| 動物の尿 | 野生動物の多い環境 | においを嗅がせすぎない |
| 土壌・泥 | 大雨のあとのぬかるみ | 足を清潔に保つ |
| 経口・傷口 | 自然の多い場所での活動 | 傷の保護・飲み水管理 |
レプトスピラ症の致死率と動物病院での対応

犬のレプトスピラ症は、早期対応できるかどうかで経過が大きく変わる感染症です。致死率の傾向と動物病院での一般的な対応を解説します。
致死率は血清型や発見の早さで変わる
レプトスピラ症の致死率は、感染した血清型・発症から受診までの時間・犬の年齢や体力によって幅があります。出血型のような重篤なタイプでは対応が遅れると致死率が高まる傾向があり、早期発見・早期受診が予後を大きく左右します。
診断には血液・尿検査が用いられる
動物病院では、症状の確認に加えて血液検査・尿検査・抗体検査などを組み合わせて診断します。肝臓・腎臓の数値の変化や細菌の有無を総合的に評価し、確定診断には専門的な検査が必要となる場合もあります。
治療は抗菌薬と支持療法が中心
治療は獣医師の判断のもと抗菌薬の投与が行われ、必要に応じて点滴・栄養管理などの支持療法が組み合わされます。腎臓・肝臓へのダメージが大きい場合は入院による集中ケアが必要になることもあり、治療内容はすべて動物病院での診察に基づいて決定されます。
編集部の一言
レプトスピラ症は「気づいたときには進行していた」というケースが少なくありません。毎日の元気・食欲・尿の様子の観察が、早期受診への第一歩になります。
レプトスピラ症をワクチンで予防する方法
犬のレプトスピラ症は、ワクチン接種によって感染リスクを減らすことが期待できる感染症の一つです。ワクチンの基本的な考え方を解説します。
レプトスピラはコアワクチンに含まれない
犬のワクチンには全頭推奨の「コアワクチン」と生活環境に応じて選ぶ「ノンコアワクチン」があります。レプトスピラワクチンはノンコアワクチンに分類され、地域や生活スタイルに応じて接種を検討するものとされています。狂犬病ワクチンや混合ワクチン全体の詳細は、犬のワクチン接種スケジュール完全解説もあわせてご覧ください。
血清型の組み合わせで種類が分かれる
レプトスピラには複数の血清型があり、ワクチンによってカバーする血清型が異なります。お住まいの地域でどの血清型が報告されているかによって適切なワクチンが変わるため、獣医師との事前相談が欠かせません。
地域・生活環境に応じた接種判断
自然が多い地域に住んでいる、水辺の散歩が多い、キャンプやアウトドアに犬を連れて行くケースでは接種を前向きに検討する価値があります。室内中心で水場との接触がほぼない場合は、リスクと接種のバランスを獣医師と話し合って判断しましょう。
混合ワクチンの種類とレプトスピラの含まれ方
レプトスピラワクチンは多くの場合、混合ワクチンに含まれて提供されます。種類ごとの違いを整理しておきましょう。
5種混合まではレプトスピラ非対応が一般的
5種混合ワクチンまでは犬ジステンパー・パルボウイルスなどのコアワクチンが中心で、レプトスピラは含まれていないことが一般的です。レプトスピラ対応を希望する場合はより多くの種類をカバーするワクチンを選ぶ必要があります。費用や種類の詳細は5種混合ワクチン費用・種類解説で詳しく紹介しています。
6種以上でレプトスピラがカバーされる
6種・8種・10種などの多価ワクチンには、レプトスピラの複数の血清型が含まれるものが一般的です。種類が増えるほどカバーできる血清型も増える傾向にありますが、その分費用も変わります。
| ワクチン種類 | レプトスピラの含まれ方 | おおよその費用目安 |
|---|---|---|
| 5種混合 | 含まれないのが一般的 | 5,000〜7,500円前後 |
| 6種混合 | 1〜2血清型を含む場合あり | 6,000〜8,000円前後 |
| 8種混合 | 複数の血清型をカバー | 7,000〜10,000円前後 |
| 10種混合 | より多くの血清型をカバー | 8,000〜12,000円前後 |
※費用は動物病院や地域によって異なります。あくまで目安としてご覧ください。
副反応のリスクも理解しておく
レプトスピラワクチンは他の成分と比べて接種後の副反応がやや出やすいといわれることがあります。接種後は元気・食欲・顔まわりの腫れを観察し、気になる様子があれば動物病院に相談してください。接種は午前中など様子を観察しやすい時間帯を選ぶと安心です。
環境別・レプトスピラ症のリスクと対策

犬のレプトスピラ症のリスクは、生活環境によって大きく異なります。環境別に対策の方向性を整理します。
都市部・室内中心の犬
都市部で室内中心の生活をしている小型犬は、水辺や野生動物との接触機会が少なく、相対的にリスクは低めです。ただし、ドブや雨上がりの水たまりにも感染源が潜む場合があるため、散歩コースの選び方には注意が必要です。
郊外・自然の多い地域の犬
河川敷や田畑、山林に近い地域で暮らす犬はリスクが高まります。ネズミなど野生動物が活動する環境では、ワクチン接種を含めた対策を獣医師と相談することをおすすめします。
アウトドア・水遊びをする犬
キャンプや川遊びなど水辺でのアクティビティを楽しむ犬は特に注意が必要です。自然の中で過ごす時間が長い場合は、レプトスピラをカバーするワクチンの検討に加え、活動後に足や体を清潔にする習慣を心がけましょう。
| 生活環境 | 相対的なリスク | おすすめの対策 |
|---|---|---|
| 都市部・室内中心 | 低め | 散歩コースの見直し |
| 郊外・自然が多い | やや高め | ワクチン検討・環境管理 |
| アウトドア・水遊び | 高め | ワクチン検討・活動後の清潔ケア |
日常でできるレプトスピラ症の予防ケア5つ
ワクチン以外にも、日々の暮らしの中でできる予防の工夫があります。犬のレプトスピラ症対策として実践したい5つのケアを紹介します。
1. 水たまり・河川での接触を控える
散歩中の水たまりや、よどんだ水のある場所への立ち入りはなるべく控えましょう。大雨や台風の後は地面に菌が広がりやすいため、特に注意が必要です。
2. 散歩後は足や体を清潔に保つ
散歩から帰ったら、足やお腹まわりを拭いて清潔に保つ習慣をつけましょう。泥や水分が付着したままにしないことがリスク軽減につながります。
3. 拾い食い・水たまりの飲水を防ぐ
地面の水を飲んだり、落ちているものを口にしたりする行動は経口感染のリスクにつながります。リードコントロールやしつけでこうした行動を穏やかに抑えましょう。
4. ネズミ対策で住環境を整える
レプトスピラの主な感染源の一つがネズミです。庭やベランダ周辺にネズミが寄りつかないよう、生ゴミの管理や隙間ふさぎなど住環境を整えることも大切な予防策です。
5. 定期健診で体調の変化を早期に把握する
定期的な健康診断は、体調の変化を早期に把握する助けになります。フィラリアなど他の寄生虫対策とあわせて、季節ごとの健康管理を意識しましょう。フィラリア対策についてはフィラリア予防完全ガイドも参考にしてください。
よくある質問
まとめ|犬のレプトスピラ症は環境に応じた予防が重要
犬のレプトスピラ症は、汚染された水・土壌・動物の尿を介して感染する人獣共通感染症です。重篤化すると命に関わるケースもありますが、感染経路とリスクを正しく理解し、生活環境に応じた対策を取ることで健康維持をサポートできます。ワクチンは血清型や地域リスクに応じて選ぶ必要があるため、かかりつけの獣医師とよく相談して判断しましょう。
この記事のまとめ
・レプトスピラ症は人にも感染する人獣共通感染症で、水・土壌・動物の尿が主な感染源
・症状は出血型・黄疸型・尿毒症型に分かれ、早期発見・早期受診が経過を左右する
・ワクチンはノンコアで、6種以上の混合ワクチンにレプトスピラが含まれることが多い
・自然の多い地域や水遊びをする犬はリスクが高く、ワクチン検討の価値がある
・日常では水場を避け、散歩後の清潔ケアや定期健診で体調の変化を早期に把握する
愛犬が安心して毎日を過ごせるよう、無理のない範囲でできる予防ケアから取り入れてみてください。いぬまめ編集部は、これからも飼い主さんに役立つ情報をお届けしていきます。



