犬の僧帽弁閉鎖不全症とは?症状・原因・治療費・予防を徹底解説【2026年】

「最近、愛犬が咳をするようになった」「動物病院の健康診断で心雑音を指摘された」——小型犬を飼っている方にとって、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)は決して他人事ではありません。チワワ、マルチーズ、トイプードル、キャバリアなど、日本で人気の高い小型犬に多く見られる心臓の病気だからです。
この記事では、いぬまめ編集部が僧帽弁閉鎖不全症の症状・原因・進行度の分類・動物病院での検査内容・治療の選択肢・かかる費用の目安・日常でできるケアまでを整理してお伝えします。診断された直後で不安な方も、まだ症状はないけれど備えておきたい方も、必要な情報にたどり着けるよう段階別にまとめました。
犬の僧帽弁閉鎖不全症とは|まず知っておきたい3つの基礎知識
まずは病気そのものの構造を理解しておきましょう。名前が難しく感じられますが、仕組み自体はシンプルです。
1. 心臓の「弁」が閉じにくくなる病気
犬の心臓は人間と同じく4つの部屋に分かれています。そのうち左心房と左心室の間にあるのが「僧帽弁」と呼ばれる弁です。この弁は、心臓が収縮するときにしっかり閉じることで、血液が逆流せず全身へ送り出されるようにする役割を担っています。
僧帽弁閉鎖不全症は、この弁が加齢などによって変性し、きちんと閉じきらなくなることで血液の一部が左心房へ逆流してしまう状態です。逆流した分だけ心臓は余分に働かなければならず、長い年月をかけて心臓に負担が蓄積していきます。
2. 小型犬の心臓病で最も多いタイプ
犬の心臓病にはいくつか種類がありますが、日本の家庭犬、特に小型犬において最も多く見られるのがこの僧帽弁閉鎖不全症です。動物病院で「心雑音がありますね」と言われるケースの多くが、この病気の初期段階に該当します。
専門的には「粘液腫様僧帽弁疾患(MMVD:Myxomatous Mitral Valve Disease)」とも呼ばれ、弁の組織が徐々に厚く変形していくことが原因とされています。
3. ゆっくり進行し、初期は無症状のことが多い
この病気の特徴は、進行が非常にゆっくりであることです。心雑音が聞こえ始めてから咳などの症状が出るまでに、数年かかることも珍しくありません。逆に言えば、飼い主が「元気だから大丈夫」と思っている間に静かに進んでいる可能性があるということです。
だからこそ、定期的な健康診断で心音を確認してもらうことが早期発見につながります。
補足・参考
心雑音は聴診器で確認できるため、ワクチン接種やフィラリア予防のタイミングで獣医師に「心臓の音は大丈夫ですか」と一言尋ねておくと安心です。特別な検査を追加しなくても、聴診だけで気づける段階があります。
僧帽弁閉鎖不全症で見られる6つの症状
症状は進行度によって大きく変わります。ここでは飼い主が気づきやすい順に整理します。
1. 咳(特に興奮時・夜間・早朝)
最も多く相談される症状が咳です。「カッ、カッ」「ケホケホ」といった乾いた咳が、興奮したとき、散歩に出ようとしたとき、夜中や明け方に出やすいのが特徴です。
心臓が大きくなることで気管を圧迫したり、肺に水がたまり始めたりすることが背景にあります。ただし咳は気管虚脱や感染症でも起きるため、咳=心臓病と決めつけず動物病院で原因を確認してもらう必要があります。
2. 疲れやすい・散歩を嫌がる
以前は喜んで歩いていた距離を途中で立ち止まる、抱っこをせがむ、階段を上りたがらないといった変化です。体力の低下は加齢と混同されやすく見過ごされがちですが、心臓の働きが落ちると全身への酸素供給が不足し、運動を嫌がるようになります。
3. 呼吸が速い・浅い
安静時や睡眠時の呼吸数は、健康な犬でおおむね1分あたり15〜30回程度が目安とされています。眠っている間に胸の動きを数えて、明らかに増えている場合は注意が必要です。安静時呼吸数の記録は、家庭でできる最も実用的なモニタリング方法です。
4. 舌や歯茎の色が悪い(チアノーゼ)
舌や歯茎が青紫っぽく見える場合は、酸素が十分に行き渡っていないサインです。これは緊急性の高い状態で、すぐに動物病院へ連絡すべき症状です。
5. 失神・ふらつき
興奮時や排泄後に急にバタッと倒れる、数秒で意識が戻る、といったエピソードが見られることがあります。心臓から送り出される血液量が一時的に不足することが背景にあり、進行のサインとして重視されます。
6. お腹が膨らむ・体重の変化
進行して右心系にも負担が及ぶと、腹水がたまってお腹が張ることがあります。逆に筋肉が落ちて体重が減っていく「心臓悪液質」と呼ばれる状態が見られることもあります。
注意
呼吸が明らかに苦しそう、舌が紫色、横になれず座ったままハアハアしている——こうした状態は肺水腫の可能性があります。夜間でも迷わず救急対応の動物病院に連絡してください。時間の経過が予後を左右します。
かかりやすい犬種と原因|リスクが高い5つの要因
1. 好発犬種であること
僧帽弁閉鎖不全症は特定の犬種で発生が多いことが知られています。特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは若齢から発症する例が報告されており、繁殖の場面でも心臓のスクリーニングが重視されている犬種です。
| 犬種グループ | 代表的な犬種 | 備考 |
|---|---|---|
| 特にリスクが高い | キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル | 若齢期から心雑音が出ることがある |
| 小型犬全般 | チワワ、マルチーズ、トイプードル、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、シーズー | 中高齢以降に発症が増える |
| ミックス犬 | マルプー、チワプー、ポメプーなど | 親犬種の傾向を受け継ぐ可能性がある |
| 比較的少ない | 大型犬全般 | 大型犬では拡張型心筋症など別の心臓病が多い |
2. 加齢
最大の要因は年齢です。弁の変性は経年的に進むため、シニア期に入るほど心雑音が見つかる割合が高くなります。7歳を超えたら、年1回以上の健康診断で心音チェックを受けることをおすすめします。
3. 遺伝的な素因
好発犬種に集中していることからも分かるように、遺伝的な背景が関与すると考えられています。親犬や兄弟犬に心臓病の既往がある場合は、早めから注意しておくとよいでしょう。
4. 肥満
体重が増えれば、それだけ全身に血液を送るための心臓の仕事量が増えます。すでに弁に問題がある犬にとって、肥満は負担を増やす要因です。適正体重の維持は、日常でできる最も基本的な心臓ケアといえます。
5. 歯周病との関連
口腔内の細菌が血流に入り、心臓の弁に炎症を起こす可能性が指摘されています。直接的な因果関係の解明は途上ですが、デンタルケアは心臓の健康維持という観点からも意味のある習慣です。
編集部の一言
「うちはミックス犬だから心配ない」と考える方もいますが、マルプーやチワプーなど小型犬同士のミックスは、両親犬種のリスクをそのまま受け継ぐ可能性があります。犬種にかかわらず、小型犬であれば定期的な心音チェックを習慣にしておきましょう。
進行度を示す4つのステージ分類
獣医療の現場では、僧帽弁閉鎖不全症の進行度をアルファベットのステージで分類する考え方が広く使われています。診察で「ステージB2ですね」と説明されたとき、その意味が分かるとケア方針も理解しやすくなります。
| ステージ | 状態 | 症状 | 一般的な対応 |
|---|---|---|---|
| ステージA | 好発犬種だがまだ弁に異常なし | なし | 定期健診で経過を見る |
| ステージB1 | 心雑音あり・心臓の拡大なし | なし | 定期的な検査で経過観察 |
| ステージB2 | 心雑音あり・心臓の拡大あり | ほぼなし〜軽度 | 投薬を開始する判断がなされることが多い |
| ステージC | 心不全の症状が出ている | 咳・呼吸速迫・肺水腫など | 複数薬による内科管理 |
| ステージD | 標準的なケアでの管理が難しい | 症状が持続・再発 | 薬剤の調整・専門施設での対応 |
ステージAとB1|まだ症状はない段階
この段階では日常生活に支障はありません。ただし、心雑音が確認されたら定期的にレントゲンや心エコーで心臓のサイズを追っていくことが大切です。B1からB2へ進むタイミングを見逃さないためです。
ステージB2|ケア開始の分かれ目
症状はまだ出ていないものの、心臓が拡大し始めている段階です。この時期に適切な投薬を始めることで、心不全の発症を遅らせられる可能性が示されており、無症状でもケアの開始を勧められることがあります。「元気なのに薬を飲ませるの?」と戸惑う飼い主は多いのですが、この判断には根拠があります。
ステージCとD|心不全期の管理
咳や呼吸困難、肺水腫といった症状が現れる段階です。利尿薬などを組み合わせた内科管理が中心となり、通院頻度も上がります。ステージDは標準的なケアでのコントロールが難しくなった状態を指します。
動物病院で行われる4つの検査

1. 聴診
最も基本かつ重要な検査です。聴診器で心音を聞き、逆流によって生じる雑音の有無と大きさを確認します。心雑音は強さによってグレード分けされ、経過を追う指標になります。費用は診察料に含まれることが一般的です。
2. 胸部レントゲン検査
心臓の大きさ、肺の状態、気管の位置などを確認します。心臓の拡大度合いを数値化する指標が用いられ、ステージ判定の重要な材料になります。肺水腫の有無を確認するのにも欠かせません。
3. 心エコー検査(超音波検査)
弁の形状、逆流の量、各部屋のサイズ、心臓の収縮力などを詳しく見る検査です。ステージB1とB2を区別する上で中心的な役割を果たす検査で、循環器を専門とする獣医師のいる病院で受けられることが多くなっています。
4. 血液検査・血圧測定
腎機能や電解質のバランスは、心臓の薬を使う上で必ず確認が必要な項目です。心臓と腎臓は相互に影響し合うため、投薬中は定期的なチェックが求められます。血圧測定もケア方針の判断材料になります。
補足・参考
検査費用は動物病院の設備・地域・犬の体格によって差があります。心エコーは専門的な機器と技術を要するため、他の検査より高めに設定されているのが一般的です。事前に見積もりを確認しておくと安心です。
ケアの選択肢|内科と外科の3つのアプローチ
1. 内科的管理(投薬)
現在の獣医療で最も一般的な選択肢です。心臓の収縮を助ける薬、血管を広げて心臓の負担を軽くする薬、体内の余分な水分を排出する利尿薬などを、ステージや症状に応じて組み合わせます。
薬は病気そのものを取り除くものではなく、心臓の負担を軽くして生活の質を保つことを目的としています。自己判断で中断すると急激に状態が悪化することがあるため、指示された用量・回数を守ることが何より重要です。
2. 外科手術(僧帽弁形成術)
変性した弁を修復する手術です。国内でも実施できる施設が存在し、成功すれば投薬からの解放や大幅な生活の質の向上が期待できるとされています。ただし高度な設備と技術を要するため実施施設は限られ、費用も高額です。適応の判断には年齢、他の疾患の有無、ステージなど複数の条件が関わります。
3. 生活管理・食事療法
投薬と並行して行う日常のケアです。ナトリウム(塩分)を控えた食事、適正体重の維持、過度な興奮を避ける環境づくりが柱になります。心臓病に配慮した療法食も選択肢の一つで、詳しくは犬の心臓病用ドッグフードの選び方で解説しています。
| アプローチ | 目的 | メリット | 考慮点 |
|---|---|---|---|
| 内科的管理 | 心臓の負担軽減・症状の緩和 | 多くの病院で対応可能・体への負担が少ない | 生涯継続が基本・定期的な検査が必要 |
| 外科手術 | 弁の構造そのものを修復 | 投薬からの解放が期待できる場合がある | 実施施設が限られる・費用が高額・適応条件がある |
| 生活・食事管理 | 進行スピードへの配慮 | 飼い主が自宅で取り組める | 単独では投薬などの医療的ケアの代わりにならない |
注意
インターネットで見かけるサプリメントや健康食品は、獣医師が処方する薬の代替にはなりません。併用を検討する場合も、必ず主治医に成分を伝えて確認してください。薬との相互作用が生じる可能性があります。
医療費の目安と経済的な備え方4選
心臓病の管理は長期にわたるため、費用の見通しを持っておくことが安心につながります。ここでは金額そのものより、費用が発生する「項目」を整理します。
1. 定期検査にかかる費用
診察料、レントゲン、心エコー、血液検査が主な項目です。ステージB2以降は3〜6か月ごとの検査が推奨されることが多く、年間で複数回の受診が前提になります。心エコーは検査項目の中でも比重が大きくなりやすい部分です。
2. 継続的な投薬費用
薬は毎日飲ませるものなので、月単位で継続的にかかります。使用する薬の種類と数、犬の体重によって金額は変わります。ステージが進むほど薬の種類が増える傾向があるため、長期の見通しを主治医に相談しておくとよいでしょう。
3. 緊急時の入院・処置費用
肺水腫を起こした場合、酸素室での管理や注射による処置、入院が必要になることがあります。突発的にまとまった費用が発生する可能性がある点は、あらかじめ想定しておきたいポイントです。夜間救急を利用する場合は時間外料金も加算されます。
4. ペット保険の活用
心臓病は継続的な通院が必要になるため、通院補償のある保険が役立つ場面があります。ただし重要な注意点として、すでに心雑音を指摘された後では、心臓関連の疾患が補償対象外となるケースが一般的です。加入を検討するなら、健康なうちが原則になります。
補償割合、通院1日あたりの上限、年間の回数制限など、条件は保険会社ごとに異なります。比較のポイントは犬のペット保険の選び方で整理しています。
| 費用項目 | 発生タイミング | 備えのポイント |
|---|---|---|
| 定期検査 | 3〜6か月ごと | 年間の受診回数を主治医に確認 |
| 投薬 | 毎月継続 | 処方内容が変わる際に費用も確認 |
| 緊急処置・入院 | 突発的 | まとまった支出に備えた貯蓄 |
| 外科手術 | 適応と判断された場合 | 実施施設で個別に見積もりを取得 |
日常でできる5つの心臓ケア
1. 塩分に配慮した食事に切り替える
ナトリウムの過剰摂取は体内の水分貯留につながり、心臓の負担を増やす要因になります。人間の食べ物を分け与えない、塩分の多いおやつを避けるといった基本を徹底しましょう。ステージが進んだ場合は、獣医師の指導のもとで心臓に配慮した療法食を検討します。
2. 適正体重を維持する
肥満は心臓の仕事量を直接増やします。一方で、進行期には筋肉量の低下も問題になるため、極端な減量が適切でない場合もあります。目標体重は自己判断せず、主治医と相談して設定するのが安全です。
3. 安静時呼吸数を毎日記録する
眠っている愛犬の胸の動きを15秒間数えて4倍する、という簡単な方法で1分あたりの呼吸数が分かります。普段の数値を把握しておけば、増加傾向に早く気づけます。スマートフォンのメモやカレンダーアプリに残しておくと、診察時の情報としても役立ちます。
4. 興奮とストレスを減らす環境づくり
激しい興奮や急な運動は、心臓に一時的な負荷をかけます。来客時に興奮しすぎない工夫、散歩は短めに複数回に分ける、夏場の暑い時間帯を避けるといった配慮が有効です。首輪よりハーネスを使うと気管への圧迫も軽減できます。
5. デンタルケアを習慣にする
歯周病の管理は口腔だけの問題ではありません。毎日の歯みがきが難しい場合も、デンタルガムや歯みがきシートなど続けやすい方法から始めましょう。ただし麻酔下の歯石除去は、心臓の状態によって実施可否の判断が必要になるため、必ず主治医に相談してください。
犬種別・年齢別に見る注意ポイント3分類

1. キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
この犬種は他犬種より若い時期から心雑音が確認されることがあり、心臓のケアを前提とした飼育計画を立てることが重要です。迎え入れた時点から年1回以上の心音チェックを習慣にし、若いうちにペット保険への加入を検討しておくと選択肢が広がります。食事面の配慮についてはキャバリアにおすすめのドッグフードでまとめています。
2. チワワ・マルチーズ・トイプードルなどの小型犬
中高齢以降に発症が増えるグループです。7歳を過ぎたら健康診断の頻度を上げ、レントゲンや心エコーを含む検査を検討しましょう。小型犬は気管虚脱も併発しやすく、咳の原因を切り分けるためにも詳しい検査が有用です。
3. マルプー・チワプーなどのミックス犬
親犬種のリスクを引き継ぐ可能性があるため、「ミックスだから丈夫」という前提は持たない方が安全です。両親の犬種が分かっている場合は、そのリスク特性を踏まえた健康管理を心がけましょう。
| 年齢 | 推奨される健診頻度 | チェックしたい項目 |
|---|---|---|
| 1〜6歳 | 年1回 | 聴診による心雑音の確認 |
| 7〜9歳 | 年1〜2回 | 聴診+血液検査、雑音があればレントゲン |
| 10歳以上 | 年2回程度 | 聴診+血液検査+レントゲン、必要に応じ心エコー |
| 診断後(ステージB2以降) | 3〜6か月ごと | 主治医の指示に従った継続的な検査 |
受診を急ぐべき4つのサイン
1. 呼吸が明らかに苦しそう
お腹を大きく使って呼吸している、口を開けてハアハアが止まらない、横になれず座ったまま息をしている——これらは肺水腫を疑うサインです。すぐに動物病院へ連絡してください。
2. 舌や歯茎が青紫色
チアノーゼは酸素不足を示します。移動中も可能な限り安静を保ち、興奮させないようにしながら急いで受診しましょう。
3. 失神・急に倒れる
数秒で意識が戻ったとしても、心臓や循環に関わる重要なサインである可能性があります。倒れたときの様子を動画で撮影しておくと、診察時に大きな手がかりになります。
4. 安静時呼吸数が普段より明らかに多い
普段が20回程度の犬が、安静時に40回を超えているような場合は要注意です。日頃から記録をつけていれば、「いつもと違う」に客観的な根拠を持って気づけます。
編集部の一言
動物病院に連絡する際は、「いつから」「どんな様子か」「呼吸数はいくつか」を伝えられると、獣医師側も緊急度を判断しやすくなります。慌てているときほど情報が抜けやすいので、日頃からメモを残す習慣をつけておくと役立ちます。
よくある質問
- 心雑音を指摘されましたが、元気にしています。すぐにケアを始める必要がありますか?
- 心雑音があっても心臓の拡大がない段階(ステージB1)では、経過観察となることが一般的です。一方、心臓の拡大が確認される段階(ステージB2)では、症状がなくても投薬を開始する判断がなされることがあります。この区別には心エコーやレントゲン検査が必要になるため、まずは詳しい検査について主治医に相談してみてください。
- 咳が出るのは必ず心臓病のサインですか?
- いいえ、咳の原因は心臓病だけではありません。小型犬では気管虚脱、感染症、アレルギー、逆流性の問題など、さまざまな要因で咳が出ます。特に気管虚脱は「ガーガー」というガチョウの鳴き声のような音が特徴とされますが、飼い主が音だけで判断するのは困難です。レントゲンなどの検査で原因を切り分けてもらいましょう。
- 診断された後でもペット保険には入れますか?
- 加入自体は可能な場合がありますが、心臓に関連する疾患は補償の対象外(特定疾病不担保)となるケースが一般的です。心臓病は長期の通院が前提となるため、補償が受けられるかどうかは大きな差になります。好発犬種を迎えた場合は、健康なうちに加入を検討しておくことをおすすめします。
- 薬を飲ませ忘れてしまいました。どうすればいいですか?
- 自己判断で2回分をまとめて飲ませるのは避けてください。次の服用時間が近い場合は1回飛ばす、時間が空いている場合は気づいた時点で飲ませるなど、対応は薬の種類によって異なります。あらかじめ「飲ませ忘れたときはどうすればよいか」を主治医に確認し、メモに残しておくと安心です。
- 心臓に配慮したフードはいつから切り替えるべきですか?
- 切り替えのタイミングは進行度によって異なります。無症状の段階では総合栄養食で塩分の多いおやつを控える程度で足りることもあり、症状が出てきた段階で獣医師の指導のもと療法食を検討する流れが一般的です。療法食は栄養バランスが特殊なため、自己判断での長期使用は避け、必ず主治医に相談してください。
- 散歩はさせてもいいのでしょうか?
- ステージや症状によりますが、適度な運動は筋肉量の維持や体重管理の面で意味があります。ポイントは「激しくしないこと」で、長時間の一括散歩より短めに分ける、坂道や階段を避ける、暑い時間帯を外すといった工夫が有効です。運動量の具体的な範囲は必ず主治医の指示を確認してください。
- 安静時呼吸数はどうやって数えればいいですか?
- 愛犬が眠っているとき、または完全にリラックスしているときに、胸やお腹の上下運動を15秒間数えて4倍します。これで1分あたりの回数が出ます。運動直後や興奮している状態では正確に測れないため、必ず落ち着いているときに行ってください。毎日同じ時間帯に記録すると変化に気づきやすくなります。
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まとめ|早期発見と継続的な管理が愛犬の毎日を支える
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、小型犬に多く見られる進行性の心臓病です。初期は無症状のまま静かに進むため、定期的な聴診と検査による早期発見が何より重要になります。診断された後も、適切な投薬と生活管理を続けることで、愛犬が穏やかに過ごせる時間を支えることができます。
咳や呼吸の変化に気づいたとき、あるいは健康診断で心雑音を指摘されたとき、不安になるのは自然なことです。ただ、この病気は「気づいた時点から何ができるか」を積み重ねていける病気でもあります。主治医と情報を共有しながら、家庭でできるケアを一つずつ続けていきましょう。
この記事のまとめ
・僧帽弁閉鎖不全症は僧帽弁が閉じきらず血液が逆流する病気で、小型犬に最も多い心臓病
・キャバリア、チワワ、マルチーズ、トイプードルなど好発犬種は7歳前後から年1回以上の心音チェックを
・主な症状は咳・疲れやすさ・呼吸数の増加で、初期は無症状のまま進行する
・進行度はステージA〜Dで分類され、ステージB2がケア開始の分かれ目になる
・ケアの中心は内科的管理(投薬)で、条件が合えば外科手術という選択肢もある
・家庭では塩分配慮・適正体重・安静時呼吸数の記録・デンタルケアを継続する
・ペット保険は心雑音を指摘される前の加入が原則。好発犬種なら早めの検討を



