猫ひっかき傷の正しい
目次
猫にひっかかれた直後は、まず傷口を石けんと流水でよく洗うことが基本です。出血があるときは直接圧迫して止血し、そのうえで医師の診療を受けます(日本赤十字社の一般的な出血の手当)。また、微熱等の症状が続くときは医療機関を受診します。この記事では、人が猫にひっかかれた直後の正しい手当、猫ひっかき病の経過、医療機関へ相談する目安を整理してお伝えします。
猫ひっかき傷の直後にまず押さえたい3つのポイント

愛猫と遊んでいる最中やすれ違いざまに、爪が当たって傷ができることがあります。受傷した直後は、慌てずに次の3つの行動を確認してください。
1. 傷口を石けんと流水でよく洗う
まずは水道の流水を使い、石けんで傷口を丁寧に洗い流してください。
厚生労働省のカプノサイトファーガ感染症Q&Aでは、犬や猫に咬まれたり引っかかれたりした場合の対応として「傷口を石けんと流水でよく洗いましょう」と案内されています。また、大阪府の感染症情報でも傷口の洗浄消毒を行うよう示されています。
2. 出血があるときは直接圧迫して止血する
傷口から血が出ている場合は、清潔なガーゼやハンカチを当てて、傷口を直接強く押さえて圧迫します。
日本赤十字社の案内(一般的な出血の手当)では、出血している傷口をガーゼなどで直接強く押さえてしばらく圧迫する「直接圧迫止血法」が基本とされています。直接圧迫止血法を行い、そのうえで医師の診療を受けるよう案内されています。
3. 傷口を猫になめられないようにする
手当のあと、傷口を猫になめさせないように気をつけてください。
厚生労働省のQ&Aでは「傷口をイヌやネコになめられないようにしましょう」と案内されています。また、大阪府の資料では、傷口をなめられることも猫ひっかき病の感染経路として挙げられています。
注意
本記事で紹介する手当は、公的機関の資料で確認できた範囲の応急手当です。個別の傷に対する医療診断ではありません。出血がある場合や不安がある場合は、早めに医師の診察を受けてください。
補足・参考
石けんによる洗浄の案内はカプノサイトファーガ感染症Q&A(厚生労働省)の記述であり、猫ひっかき病専用のガイドラインではありません。また、圧迫止血の手順は日本赤十字社が示す一般的な出血の手当に基づいています。洗浄の秒数や消毒薬の具体的な種類については今回確認した資料には記載がないため、医師の指示に従ってください。
猫ひっかき病とは?ひっかき傷から起こる感染症の基礎知識
猫による引っかき傷や咬み傷から生じる代表的な感染症に「猫ひっかき病」があります。どのような病気なのか、公的機関の情報をもとに確認します。
原因菌と主な感染経路
猫ひっかき病は、病原体を保有する猫との接触によって発生します。大阪府の資料(2025年12月更新)では、病原体であるバルトネラ・ヘンセレを保有している猫にひっかかれたり、咬まれたり、傷口をなめられたりすることで感染すると説明されています。
また、厚生労働省のハンドブック(2026年版)によると、原因菌は猫の赤血球内に存在し、保菌した猫から皮膚を介して直接感染するとされています。東京都の資料(2019年9月更新)でも、かみ傷や引っかき傷から起こることが示されています。
猫側の特徴と保菌状況
感染源となる猫について、東京都の資料では関係する動物として「猫(特に子猫)」が挙げられており、猫は無症状とされています。
厚生労働省のハンドブックでは、子猫は保菌率が高く、保菌猫も患者も西日本に多いという地域差が報告されています。
多頭飼いにおける猫同士の広がり
複数の猫と暮らしている場合、猫同士の間でどのように広がるかも知っておきたい点です。
大阪府の資料によると、猫同士ではケンカによる直接感染のほか、ノミが媒介して感染する場合があるとされています。
ひっかかれたあとに気をつけて見たい4つの変化
公的資料に記載されている経過は次の4点です。
1. 傷口の腫れ
大阪府の資料では、猫にひっかかれたり咬まれたりした3〜10日後に、傷口の腫れなどの変化が出ることが示されています。これは経過の記述であり、受診を判断する日数の基準ではありません。
2. 受傷部の丘疹や水疱
厚生労働省のハンドブックによると、受傷から1週間前後で傷口の部位に丘疹(小さなブツブツ)や水疱が現れる場合があります。
3. 傷口の上位にあるリンパ節の腫れ
同ハンドブックでは、その後、傷口の上位のリンパ節が痛みを伴って腫れるとされています。
4. 発熱やだるさなどの全身症状
患部だけでなく、全身のコンディションにも目を向けます。厚生労働省のハンドブックでは受傷から1週間前後での発熱が挙げられています。
全身症状の程度について、東京都の資料では「発熱やだるさなどの全身症状があっても軽い場合が多い」とされています。また、厚生労働省の資料でも、通常は予後が良好で症状が数週間から数カ月続くものの自然治癒すると説明されています。これらの変化に気づいたときは、次の相談の目安を確認してください。
医療機関に相談したい3つのタイミング
どのような状態になったら病院へ行くべきか、受診を検討したい3つの目安をまとめました。
1. 出血があるとき
出血があるときは、傷口を直接圧迫して止血を行い、そのうえで医師の診療を受けることが日本赤十字社の案内(一般的な出血の手当)で示されています。
2. 微熱などの症状が続くとき
大阪府の資料では、「微熱等の症状が続く場合には、医療機関を受診しましょう」と明記されています。
3. 体に不調を感じたとき
厚生労働省のハンドブックでは、動物由来感染症全般への備えとして、体に不調を感じたら早めに医療機関に相談するよう案内しています。
同資料によると、動物由来感染症は風邪などに似た症状で気づきにくいことがあり、小さな子ども、妊婦、高齢者は重症化しやすいとされています。家族の中に該当する方がいる場合は、特に早めの受診を心がけたいところです。
受診する際は、大阪府や厚生労働省の資料にあるとおり、「猫にひっかかれた(または咬まれた)」と医師に伝えることが重要です。受傷歴を共有することで、適切な診療につながりやすくなります。
| 状況 | 対応の目安 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 出血がある | 傷口を直接圧迫して止血し、医師の診療を受ける | 日本赤十字社 |
| 微熱などが続く | 無理をせず医療機関を受診する | 大阪府資料 |
| 体に不調を感じる | 早めに医療機関へ相談する(子どもや高齢者は特に配慮) | 厚生労働省ハンドブック |
| 病院を受診する | 猫に引っかかれた・咬まれた事実を医師に伝える | 大阪府・厚生労働省Q&A |
※ここからは、猫自身の体調が気になる方向けのご案内です(人の傷の診断や、猫の保菌を確認するものではありません)。
愛猫にひっかかれる機会を減らす2つの見直しポイント
感染症への懸念を減らすためには、日頃からひっかかれにくい環境を整えることも役立ちます。大阪府の案内では、日常の対策として次の2点が挙げられています。
1. 猫の爪を切る
大阪府の資料では、日ごろの対応として猫の爪を切ることが挙げられています。
2. ノミを駆除・管理する
大阪府の資料では、日ごろの対応としてノミを駆除することが挙げられています。猫同士の感染経路としてもノミの媒介が示されています。
東京都の資料では猫は無症状とされています。そのため「爪が当たったらすぐに洗う」「家族内で受傷時のルールを共有しておく」といった習慣をつけておくことが安心につながります。
編集部の一言
室内で穏やかに暮らしていても、遊んでいる最中に興奮して爪が当たってしまう事故は起こります。過度に恐れる必要はありませんが、「ひっかかれたらまず洗う」「熱が続いたら病院で伝える」という基本手順を覚えておくと落ち着いて対処できます。
よくある質問
- 猫にひっかかれたら、まず何をすればいいですか?
- 傷口を石けんと流水ですぐによく洗い流してください。出血がある場合は、清潔な布などで直接強く押さえて圧迫止血を行い、そのうえで医師の診療を受けます(一般的な出血の手当)。
- 傷が小さくても病院に相談したほうがいいですか?
- 傷の大きさで受診を分ける基準は、今回確認した資料にはありません。出血がある場合は直接圧迫止血を行い、医師の診療を受けます。また、微熱等の症状が続く場合や体に不調を感じたときも医療機関を受診するよう案内されています。なお、厚生労働省のカプノサイトファーガ感染症Q&A(別の感染症の資料)では、傷が小さくても感染の可能性はあるとされています。
- 猫ひっかき病になるとどんな症状が出ますか?
- 公的資料によると、受傷から数日から1週間前後で傷口の腫れ、丘疹や水疱、発熱が現れ、その後に傷口の上位のリンパ節が痛みを伴って腫れる経過が知られています。東京都の資料では、全身症状があっても軽い場合が多いとされています。
- 子どもや高齢者は特に気をつけたほうがいいですか?
- 厚生労働省のハンドブックでは、動物由来感染症全般において小さな子どもや妊婦、高齢者は重症化しやすいとされています。家族に該当する方がいる場合は、体調の変化により注意を払い、早めの受診を検討してください。
- ひっかき傷を猫になめられても大丈夫ですか?
- 傷口はなめられないようにしてください。厚生労働省のQ&Aでは傷口をなめられないようにするよう案内されており、大阪府の資料では傷口をなめられることが感染経路として挙げられています。
- 市販の消毒液は使ったほうがいいですか?
- 今回確認した公的資料の案内では「石けんと流水で洗う」「洗浄消毒を行う」といった記載にとどまり、特定の消毒薬の推奨は記載されていません。まずは石けんと流水でしっかり洗い流し、使用薬については医師や薬剤師に相談してください。
- 病院を受診するとき、医師には何を伝えればいいですか?
- 「猫にひっかかれた(または咬まれた)」ことを医師に伝えてください。傷の履歴を伝えることが、治療や診察の手助けになります。
まとめ|猫ひっかき傷の正しい手当と受診の目安
この記事のまとめ
・直後は石けんと流水でよく洗い、出血があれば直接圧迫して止血し医師の診療を受ける
・傷口をなめさせないように気をつける
・微熱が続くときや体調に不安があるときは、猫にひっかかれたことを医師に伝えて受診する
東京都の資料では猫は無症状とされています。そのため、ひっかかれたらまず洗う、出血があれば直接圧迫して止血し医師の診療を受ける、微熱等の症状が続くときは医療機関を受診する、という基本手順に沿って落ち着いて対処してください。
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