猫の熱中症で見られる

2026年10月9日更新 | いぬまめ編集部

猫が浅く速い呼吸をしていたり、よだれを垂らしてぐったりしていたりするときは注意が必要です。暑い環境にいたあとにこうした様子が見られるなら、熱中症を疑い、体を冷やしながら速やかに動物病院へ連絡してください。

この記事では、猫の熱中症で見られる初期サインや進んだときの状態、家庭でできる応急対応の手順をまとめました。なお、家庭で診断を確定することはできないため、愛猫の命を守る判断の目安としてお役立てください。

猫の熱中症で見られる初期サイン5つ

初期に現れやすいサインを把握しておきましょう。

ハアハアと浅く速い呼吸・舌を出して喘ぐ

猫が口を開けて「ハアハア」と浅く速い呼吸をしたり、舌を出して喘いだりしているときは警戒が必要です。獣医師への取材記事によると、猫は通常、舌を出してハアハアと喘ぐような呼吸をしません。埼玉県動物指導センターの資料でも、激しい呼吸(パンティング)は初期症状として挙げられています。この呼吸が見られたら注意が必要です。

よだれが多い

口元から多量のよだれ(流涎)を垂らしている状態も、熱中症で報告される代表的なサインのひとつです。英国の猫保護団体Cats Protectionやコーネル大学猫健康センターの解説でも、サインとして挙げられています。口周りが不自然に濡れていたり、ポタポタとよだれが落ちていたりすることがあります。

耳や体がいつもより熱い

猫の体を撫でたときに、全体や耳が普段より明らかに熱く感じられることがあります。被毛の上から触れても熱さが伝わってくることがあります。愛猫の平熱の感覚を日頃から手のひらで覚えておくと、異変に気づきやすくなります。

元気がない・ぐったりする・食欲がない

呼びかけても反応が鈍く、床の上でぐったりとして動かない状態です。国際的な猫福祉団体International Cat Careの資料では、無気力や強い疲労感が熱中症のサインとして挙げられています。また、大好きなおやつや食事をまったく受け付けなくなる食欲不振が見られることがあります。

落ち着きがない

そわそわと落ち着きなく歩き回る行動が見られることがあります。Cats Protectionのガイドでは、落ち着きのなさがサインとして挙げられています。快適な場所を探して室内をうろうろと彷徨うような動きを見せたら、室内の温度環境をすぐに確認してください。

補足・参考

本項で挙げたサインは、国内外の獣医療機関や保護団体(コーネル大学猫健康センター、Cats Protection、埼玉県動物指導センター等)が報告している代表例です。これらは熱中症の可能性を示す目安であり、個別の診断基準ではありません。また、埼玉県の資料は犬と猫を合わせた解説に基づいています。

症状が進んだときに見られる4つのサイン

コーネル大学猫健康センターは、熱中症が非常に短時間で命に関わる状態になりうると警告しています。次のような状態が見られたら注意が必要です。

嘔吐・下痢

コーネル大学やCats Protectionの資料では、嘔吐や下痢がサインとして挙げられています。ただし、これらは他の消化器系疾患でも見られる症状のため、前後の室温環境とあわせて判断することが大切です。

震え・けいれん

埼玉県動物指導センターの資料(犬猫共通)では、症状が進んだ場合の項目として痙攣発作や震えが挙げられています。

混乱した様子

Cats Protectionの資料では、「混乱」がサインとして挙げられています。

虚脱・意識消失

International Cat Careの解説では、虚脱(力が抜けて倒れ込む状態)や意識消失がサインとして挙げられています。

段階 見られる主なサイン 主な出典資料
初期に見られるサイン 浅く速い呼吸、よだれ、耳や体が熱い、ぐったり、落ち着きのなさ Cats Protection、コーネル大学、ウェザーニュース、埼玉県※
進んだときに見られるサイン 嘔吐、下痢、震え、けいれん発作、混乱、虚脱、意識消失 Cats Protection、コーネル大学、International Cat Care、埼玉県※

※埼玉県の資料は犬猫共通の記載内容です。初期・進行の区分は埼玉県の資料(犬猫共通)にもとづく整理で、他の資料は段階を分けずに挙げています。

注意

Cats Protectionが指摘しているとおり、熱中症は緊急事態です。複数のサインが重なっている場合や、ぐったりして動かない場合は「少し涼しくして様子を見る」という判断は避け、すぐ動物病院へ連絡してください。

熱中症を疑ったときの応急対応4ステップ

涼しい場所で猫の被毛をやさしく濡らし、横から風を送る応急対応のイラスト。

愛猫の熱中症が疑われるときは、動物病院へ連れて行く前、または移動中に体を冷やす処置を始める必要があります。焦らず次の手順で進めてください。

ステップ1:風通しのよい涼しい場所へすぐ移す

まずは直射日光の当たる場所や閉め切った部屋から離し、エアコンの効いた部屋や日陰の風通しのよい場所へ静かに移動させます。

ステップ2:冷たすぎない水で被毛を濡らし、風を送る

冷たすぎない涼しい水で被毛をやさしく濡らします(氷水や凍るほど冷たい水は避けてください)。そのうえで、うちわや扇風機で風を送って体を冷やしてください。埼玉県動物指導センターは、濡らしただけでは状態を悪化させる場合があるとして、送風と組み合わせるよう注意を促しています。

急激に冷やすとショックを起こすおそれがあるため、徐々に冷やすことが推奨されています。

濡れタオルを使用する場合は、熱がこもりやすいため、温まったらこまめに取り替えるか外してください。

ステップ3:水は飲めるようなら出し、無理に飲ませない

自力で飲める状態であれば新鮮な水を与えます。ただし、英国の動物保護慈善団体PDSAが指摘するように、無理に口へ流し込んではいけません。

ステップ4:冷やしながら、すぐ動物病院へ連絡する

応急処置と並行して、できるだけ早くかかりつけの動物病院へ電話を入れます。現在の体調、呼吸の様子、これまでの応急処置を伝え、受診の指示を仰ぎましょう。熱中症の確定診断がついていなくても、疑いを持った段階ですぐに連絡することが大切です。

注意

良かれと思って氷水を直接かけることは控えてください。急激に冷やすと皮膚表面の血管が収縮し、かえって体内の熱が逃げにくくなります。また、PDSAのガイドでは、抱きかかえることも熱がこもる要因になるため避けるよう案内されています。

編集部の一言

緊急時はパニックになりがちですが、基本は「涼しい場所へ移動、水で濡らして風を送り、同時に動物病院へ電話」です。この流れを頭の片隅に留めておくだけで、いざというときの初動が変わります。

暑い日の室内で気をつけたい3つのポイント

室内飼いであっても、環境次第で熱中症のリスクは高まります。普段の生活の中で意識しておきたいポイントを整理しました。

暑くなる部屋や閉め切った空間に閉じ込めない

International Cat Careは、非常に高温になる部屋や温室のような閉鎖空間に閉じ込められることをリスクとして挙げています。留守番中はもちろん、在宅時でも風通しの悪い小部屋や日差しの強いサンルームに愛猫が閉じ込められることがないよう、部屋の扉や移動ルートに配慮しましょう。

普段の呼吸と様子を知っておく

愛猫の「いつもの状態」を把握しておくことが、異常の早期発見につながります。猫は犬のように日常的に舌を出して呼吸をすることはありません。平熱時の呼吸リズムや耳の温かさを普段のスキンシップで知っておくことで、わずかな体調の変化にもすぐ気づけるようになります。

家族と同居者でサインと連絡先を共有しておく

同居家族や多頭飼いの管理を行っている全員で、熱中症が疑われる初期サインやかかりつけ医の連絡先を共有しておきましょう。誰が留守番をしていても迅速に同じ対応が取れる体制を整えておくことが、愛猫の安全につながります。

編集部の一言

普段から愛猫の過ごす場所を定期的に見回り、快適に過ごせているかを気にかける習慣を大切にしたいですね。

よくある質問

猫が口を開けてハアハアしていたら熱中症ですか?
通常、健康な猫は舌を出してハアハアと喘ぐような呼吸をしません。暑い環境にいたあとにこの呼吸が見られるなら熱中症の可能性が疑われます。家庭で確定診断はできないため、体を冷やしながら速やかに動物病院へ相談してください。
猫の熱中症が疑われるとき、水は飲ませたほうがいいですか?
愛猫自身が自力で飲める状態であれば水を与えて構いません。ただし、無理やり口に流し込むのは避けてください。
体を早く冷やすために氷水をかけてもいいですか?
氷水を直接かけることは控えてください。皮膚の血管が急激に収縮し、かえって体内の熱が逃げにくくなってしまいます。冷たすぎない水で被毛をやさしく濡らし、風を送って徐々に冷やす方法が適しています。
猫の熱中症は急に悪化することがありますか?
コーネル大学猫健康センターの資料にあるように、熱中症は非常に短時間で命に関わる状態へ進むことがあります。「少し様子を見よう」と放置せず、疑わしいサインに気づいたら早めに対処することが重要です。
嘔吐や下痢が見られるときも熱中症を疑うべきですか?
嘔吐や下痢は、熱中症のサインとして複数の資料で挙げられています。高温の環境にいたあとにこれらの症状が出ている場合は、ただちに動物病院へ連絡してください。
犬向けの熱中症対策の情報をそのまま猫に使っても大丈夫ですか?
自治体などの資料では犬猫共通で解説されていることも多いですが、猫は犬と違って普段パンティングをしないなど生態に違いがあります。猫専用の資料で確認されている特徴的なサインを意識しつつ、判断に迷ったら獣医師に相談しましょう。

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まとめ|愛猫のサインを見逃さず早めの受診を

この記事のまとめ

・浅く速い呼吸、よだれ、体が熱い、ぐったりしているなどのサインに素早く気づく

・疑ったときは涼しい場所へ移し、冷たすぎない水で濡らして送風しつつ、すぐに動物病院へ連絡する

・氷水を直接かけることや、水を無理やり飲ませることは避ける

暑い季節は愛猫の過ごす空間に気を配り、少しでも異変を感じたらためらわずに動物病院へ相談してください。

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