猫の口内炎の初期症状2026年版|食欲低下・よだれ・口臭の見分け方と早期対処のポイント

「最近、うちの猫がカリカリを前にして固まっている」「口元がいつも濡れていて、近づくと少し匂う」——そんな小さな違和感は、口の中のトラブルが始まっているサインかもしれません。猫は痛みを隠す動物なので、飼い主さんが「おかしい」と気づいたときには、口内炎がかなり進行しているケースも少なくありません。
この記事では、猫の口内炎の初期症状を「食欲」「よだれ」「口臭」「行動」の4方向から見分ける方法、進行度ごとの変化、自宅でできる観察のコツ、そして動物病院に行くべきタイミングまでを、2026年時点の一般的な知見をもとに整理しました。多頭飼いや室内飼いの方が気づきにくいポイントも含めて解説します。
猫の口内炎とはどんな状態か|3つの基本知識
まずは「口内炎」という言葉が、猫においてどんな状態を指すのかを整理しておきます。人間の口内炎とは規模も経過も異なるため、ここを誤解すると「そのうち治るだろう」と様子見しすぎてしまうことがあります。
1. 人間の口内炎とは規模が違う
人間の口内炎は、頬の内側などに直径数ミリの潰瘍が1〜2個できて、1〜2週間で自然に落ち着くことがほとんどです。一方、猫で問題になる口内炎は、歯茎の縁、奥歯の周囲、喉の手前(口峡部)などが広範囲に真っ赤に腫れるタイプが中心です。範囲が広く、痛みも強く、放っておいて自然に落ち着くことは期待しにくい状態です。
特に奥歯の外側から喉の手前にかけて左右対称に赤く腫れているケースは、動物病院で「尾側口内炎」「慢性歯肉口内炎」などと呼ばれる状態に該当することがあります。飼い主さんが口を開けて確認しようとしても、痛みで嫌がって見せてくれないことが多いのも特徴です。
2. 原因は一つではないと考える
猫の口内炎は「これが原因」と単一に決めつけにくく、複数の要素が重なって起きていると考えられています。よく挙げられるのは、歯垢・歯石に含まれる細菌への過剰な免疫反応、猫カリシウイルスや猫免疫不全ウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)などの感染、歯周病の進行、免疫バランスの乱れ、慢性腎臓病などの全身疾患の影響などです。
つまり、口の中だけを見て判断するのではなく、全身の状態とセットで評価する必要があるということです。この点が、飼い主さんの自己判断だけでは限界がある理由でもあります。
3. 進行すると食事そのものが苦痛になる
口の中が痛むと、猫は食べたい気持ちがあるのに食べられない、という状態になります。これが続くと体重が落ち、栄養状態が悪くなり、免疫のバランスがさらに崩れて口内の状態も悪化する——という悪循環に入りやすくなります。特にシニア猫や、もともと痩せ気味の子では、この負の連鎖が早く進みます。
補足・参考
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断や治療方針を示すものではありません。愛猫に気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの動物病院で獣医師の診察を受けてください。
初期症状を見分ける5つのサイン
ここからが本題です。猫の口内炎は、いきなり「口が真っ赤で食べられない」という状態になるわけではありません。その前段階に、飼い主さんが気づける小さなサインがあります。特に注目したい5つを順に見ていきます。
1. 食べ方が変わる(食欲低下の前段階)
最も早く現れやすいのが「食べ方の変化」です。食欲そのものはあるのに、食べ方だけが変わるのが初期の特徴です。具体的には次のようなサインです。
・フードの前まで来るが、しばらく匂いを嗅いで食べずに離れる
・カリカリを口に入れてから、ポロッと落とす
・片側の歯だけで噛むようになった
・食べるスピードが明らかに遅くなった
・ドライを残すのにウェットやちゅ〜る状のものは食べる
「食欲はあるのに食べない」は、口の痛みを疑う典型的なパターンです。単なる食欲不振であれば、ウェットフードを出しても興味を示さないことが多いのに対し、口内トラブルの場合は「柔らかいものなら食べる」という差が出やすくなります。
2. よだれ(流涎)が増える
口の中に炎症があると、痛みや違和感から唾液の分泌が増えます。初期は「顎の下の毛が少し湿っている」「寝ていた場所にうっすら染みができている」といった、見落としやすいレベルです。
進行すると、糸を引くようなよだれが垂れる、口の周りが常にベタついている、よだれに血が混じって薄いピンク色になる、といった変化が出てきます。よだれに血が混じるのは、すでに初期を超えている可能性が高いサインです。
3. 口臭がきつくなる
健康な猫の口の匂いは、フードの匂いがほのかにする程度です。これが「生ゴミのような」「鉄のような」「腐敗したような」匂いに変わったら要注意です。口内の細菌繁殖や、炎症部位の組織のダメージが匂いの原因になっていることがあります。
多頭飼いの場合、どの子の口が匂うのか特定しにくいことがあります。抱っこしたときや、顔を近づけて撫でるときに、意識して1頭ずつ確認する習慣をつけておくと変化に気づきやすくなります。
4. グルーミングが減り、毛づやが落ちる
猫は舌で毛づくろいをするため、口が痛いとグルーミングの回数が減ります。その結果、背中や腰まわりの毛がボサボサになる、毛玉ができやすくなるといった変化が出ます。「最近毛づやが悪いな」と感じたとき、実は口の痛みが背景にあるケースは珍しくありません。
特に長毛種のペルシャやメインクーン、ノルウェージャンフォレストキャットなどは、グルーミング量が減るとすぐに毛玉ができるため、変化に気づきやすい面もあります。
5. 顔まわりを気にする仕草が増える
前足で口元をこすったり、頭を振ったり、あくびの途中で止めてしまったりする仕草も、口内の違和感を示すことがあります。また、毛づくろい中に急に「カッ」と口を開けて固まる、食事中に前足で口を触るといった行動も、痛みの表現として観察されることがあります。
| サイン | 初期に見られる程度 | 進行時の変化 |
|---|---|---|
| 食べ方 | ドライを残す・食べるのが遅い | フードの前で鳴く・完全に食べない |
| よだれ | 顎下がやや湿る | 糸を引く・血が混じる |
| 口臭 | 普段より少し気になる | 部屋に入ると分かるレベル |
| グルーミング | 回数がやや減る | ほぼしない・毛玉多発 |
| 行動 | あくびを途中でやめる | 顔を触られるのを強く拒む |
編集部の一言
ねこまめ編集部で複数の飼い主さんに話を伺うと、最も多かった「最初の気づき」は「カリカリを食べ残すようになった」でした。食欲そのものの低下より、食べ方の変化のほうが先に出るケースが多いようです。
進行度別に見る口内炎の3段階
症状の程度を把握しておくと、「今どのくらいの段階なのか」「様子を見ていい範囲なのか」の判断材料になります。あくまで目安として整理します。
1. 初期段階:歯茎の縁が赤い
歯と歯茎の境目に沿って、細い赤いラインが出ている状態です。この段階では食欲もほぼ通常で、よだれもわずか。飼い主さんが気づくのはかなり難しく、動物病院の健康診断やワクチン接種時に指摘されることが多い段階です。
ここで気づけるかどうかが、その後の負担を大きく左右します。口を触られることに慣れている猫であれば、月に1回程度、明るい場所で口の中をチェックする習慣が役立ちます。
2. 中期段階:広範囲の赤みと食べ方の変化
歯茎全体が赤く腫れ、奥歯の外側や口の奥にも赤みが広がってきます。この段階になると、ドライフードを残す、片側で噛む、よだれが増えるといった変化が飼い主さんにも分かるようになります。体重は微減し始めることが多く、月1回の体重測定をしていれば数字にも表れます。
3. 進行段階:食事が困難になる
口の奥まで真っ赤に腫れ上がり、触れると出血することもあります。猫はフードを前にして鳴く(食べたいのに痛くて食べられない)、水を飲むのも嫌がる、口を開けたまま固まるといった状態になります。体重減少が明らかで、被毛はパサつき、活動量も落ちます。
| 段階 | 口の中の状態 | 食欲 | よだれ | 体重 |
|---|---|---|---|---|
| 初期 | 歯茎の縁が赤い | ほぼ通常 | ほぼなし | 変化なし |
| 中期 | 歯茎全体が赤く腫れる | ドライを残す | 顎下が湿る | やや減少 |
| 進行 | 口の奥まで赤く出血も | ほぼ食べない | 糸を引く・血混じり | 明らかに減少 |
注意
猫は48時間以上まったく食べない状態が続くと、肝臓に負担がかかる「肝リピドーシス」のリスクが高まると言われています。食べない時間が丸1日を超えたら、口内の状態にかかわらず速やかに動物病院を受診してください。
自宅でできる口内チェック4つの手順
毎日でなくても構いません。月1〜2回、猫がリラックスしているタイミングで実施できれば十分です。無理に押さえつけて確認しようとすると、猫が口を触られること自体を嫌がるようになるため、短時間で切り上げることが大切です。
1. 顎の下と口周りを触って湿り気を確認
撫でるついでに、顎の下から口角にかけて指でそっと触れます。毛が湿っていないか、ベタつきがないかを確認します。これは猫の負担がほぼゼロなので、日常的に取り入れやすい方法です。
2. 唇をめくって歯茎の色を見る
猫の口角付近の唇を、指で軽く上に持ち上げます。犬歯の周囲の歯茎が見えるので、健康な淡いピンク色か、赤みが強くなっていないかを確認します。左右両方を見比べると、片側だけ赤いといった変化にも気づけます。
この時点で嫌がるようなら、無理に続けず終了してください。数秒で十分です。
3. 口臭を確認する
顔を近づけたときの匂いをチェックします。前回と比べて明らかに強くなっていないか、匂いの質が変わっていないかを見ます。ドライフード中心の子とウェット中心の子では基本的な匂いが違うので、「その子の普段の匂い」を基準にすることがポイントです。
4. 体重を測る
口内の変化は体重に表れます。飼い主さんが猫を抱いて体重計に乗り、その後自分だけの体重を引く方法で十分です。1か月で体重の5%以上減っている場合は、何らかの不調のサインと考えて受診を検討しましょう。4kgの猫なら200g、5kgの猫なら250gが目安です。
| チェック項目 | 推奨頻度 | 所要時間 | 猫への負担 |
|---|---|---|---|
| 顎下・口周りの湿り気 | 週1回以上 | 5秒 | ほぼなし |
| 歯茎の色 | 月1〜2回 | 10秒 | 小 |
| 口臭 | 週1回 | 5秒 | ほぼなし |
| 体重測定 | 月1回 | 1分 | 小 |
症状別に見る受診判断の目安

「すぐ病院に行くべきか、数日様子を見ていいか」は多くの飼い主さんが迷うところです。ここでは症状別に、判断の目安を整理します。
1. すぐに受診したほうがよいケース
・24時間以上まったく食べていない
・よだれに血が混じっている
・水も飲めていない
・口を開けたまま閉じられない
・ぐったりして動かない
2. 数日以内に受診を検討するケース
・ドライフードを食べなくなり、ウェットのみ食べる状態が3日以上続く
・よだれが明らかに増えた
・口臭が急に強くなった
・グルーミングをしなくなり、毛玉が増えた
3. 次の健康診断で相談すればよいケース
・歯茎の縁にわずかな赤みがあるが、食欲・体重は通常
・口臭が少し気になる程度で、他の変化はない
迷ったときは「食べられているか」「体重が維持できているか」の2点を軸に判断すると分かりやすくなります。この2つが崩れている場合は、早めの受診が原則です。
補足・参考
動物病院を受診する際は、いつから症状が出たか、食べられているフードの種類、体重の推移、よだれや口臭の変化を記録して持参すると、診察がスムーズに進みます。スマートフォンで口の中や食事の様子を撮影しておくのも有効です。
年齢別に気をつけたい口内トラブルのポイント
口内炎は年齢を問わず起こり得ますが、年代によって背景や注意すべき点が変わります。
1. 子猫期(〜1歳):ウイルス感染の影響に注意
子猫の時期に口の中が赤くなる場合、猫カリシウイルスなどの感染が背景にあることがあります。目やに、くしゃみ、鼻水を伴っているときは、上部呼吸器症状とセットで評価されることが一般的です。保護猫を迎えた直後などは特に注意が必要な時期です。
また、生後4〜7か月頃は乳歯から永久歯への生え変わりの時期で、一時的に歯茎が赤くなったり、よだれが増えたりすることがあります。ただし食欲が落ちるほどの変化があれば、生え変わり以外の要因も考えられます。
2. 成猫期(1〜7歳):歯石の蓄積が始まる
この時期は歯垢が歯石に変わり、少しずつ蓄積していく段階です。外見上は元気でも、奥歯の外側に黄色〜茶色の歯石がついていることがあります。歯石は歯茎の炎症の温床になりやすいため、年1回の健康診断で口腔内も見てもらうことが望ましい時期です。
3. シニア期(7歳〜):全身疾患との関連を意識
シニア期は慢性腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが増える年代です。これらの疾患は口の中の状態にも影響することがあり、口内炎の背景に全身疾患が隠れているケースもあります。この年代では、口の中だけでなく血液検査を含めた全身のチェックが重要になります。
| 年齢 | 主な背景要因 | 注目すべき併発症状 | 健診の目安 |
|---|---|---|---|
| 子猫期(〜1歳) | ウイルス感染・歯の生え変わり | くしゃみ・目やに・鼻水 | ワクチン時に確認 |
| 成猫期(1〜7歳) | 歯垢・歯石の蓄積 | 口臭・食べ方の変化 | 年1回 |
| シニア期(7歳〜) | 全身疾患・免疫バランス | 多飲多尿・体重減少 | 年2回 |
多頭飼いで見落とさないための3つの工夫
多頭飼いの環境では、1頭の変化が他の子の行動に紛れて見えにくくなります。特に食事とトイレを共有している場合、誰がどれだけ食べたのか把握しづらいのが実情です。
1. 食事は個別に分ける
可能であれば、食事時間だけは別々の場所で与えるか、器の位置を離して置きます。これにより誰がどれだけ食べたか、残したかが明確になります。器の下に名前を書いたマットを敷いておくと、残量の確認がしやすくなります。
2. 体重測定を全頭ローテーションで行う
3頭いるなら10日ごとに1頭ずつ、というように順番に測る方式にすれば、負担なく全頭の体重推移を追えます。スマートフォンのメモに日付と体重を記録しておくだけで、受診時に非常に役立つ資料になります。
3. 「食べる音」に注意を向ける
ドライフードを食べるときのカリカリという音は、口の状態が変わると変化します。音が小さくなった、途中で止まる時間が長くなった、といった変化は、姿を見ていなくても気づけるサインです。多頭飼いでは全員の食事音を意識的に聞く習慣が、早期発見につながります。
編集部の一言
多頭飼いの環境では「誰かが食べているから大丈夫」と安心してしまいがちです。ねこまめ編集部としては、月1回の体重測定を全頭分カレンダーに組み込むことをおすすめしています。数字は主観を補ってくれる、最も信頼できる観察ツールです。
食事面でできる4つのサポート
口内炎そのものへの対応は動物病院での診療が中心になりますが、食事の工夫によって猫の負担を軽くすることは自宅でもできます。以下は、痛みがあって食べづらい状態の猫に対する一般的な配慮です。
1. フードをぬるま湯でふやかす
ドライフードを人肌程度のぬるま湯でふやかすと、噛む負担が減り、香りも立ちやすくなります。熱すぎるお湯は栄養素に影響することがあるため、40℃程度を目安にします。ふやかした後は傷みやすいので、その都度作って食べ残しは片付けます。
2. ウェットフードやペースト状のものを活用
ウェットフードは水分量が多く、噛む力をほとんど必要としません。ドライを食べられなくなった段階では、総合栄養食表示のあるウェットフードを主食にすることで、必要な栄養を確保しやすくなります。おやつ的なペーストは総合栄養食ではないため、それだけで長期間の食事を賄うのは避けます。
3. 食器の高さを調整する
床に直置きの器だと、首を大きく曲げる姿勢になります。5〜10cm程度高さのある食器台を使うと、食べる姿勢が楽になり、口や首への負担が軽くなります。シニア猫では特に差を感じやすいポイントです。
4. 少量を回数分けて与える
1回の食事量を減らし、1日3〜5回に分けると、1回あたりの咀嚼時間が短くなり負担が減ります。仕事などで日中不在の場合は、タイマー式の自動給餌器を活用する方法もあります。
| 工夫 | 期待できること | 注意点 |
|---|---|---|
| ぬるま湯でふやかす | 噛む負担軽減・香り立ち | 熱湯は避ける・作り置きしない |
| ウェット中心に切替 | 咀嚼ほぼ不要・水分補給 | 総合栄養食表示を確認 |
| 食器台で高さ調整 | 首・口への負担軽減 | 高すぎると逆効果 |
| 少量頻回給餌 | 1回あたりの負担分散 | 総量が減りすぎないよう管理 |
注意
人間用の口内炎薬や消毒液、はちみつなどを猫の口に使うことは絶対に避けてください。猫が中毒を起こす成分が含まれている場合があり、また誤って気管に入るリスクもあります。口の中に何かを塗る処置は、必ず獣医師の指示に従ってください。
日常のケアで意識したい5つのポイント

口内トラブルの背景には歯垢・歯石の蓄積が関わることが多いため、日々のオーラルケアは口の健康を維持するうえで重要な習慣になります。ただし、すでに炎症があって痛みが出ている場合は、無理な歯みがきは逆効果です。まずは獣医師に相談してから始めてください。
1. 口を触られることに慣らす
いきなり歯ブラシを入れるのではなく、口の周りを触る→唇をめくる→指で歯に触れる、と段階的に慣らします。1日1ステップ、数秒ずつで構いません。「口を触られても嫌なことは起きない」と学習させることが最初のゴールです。
2. 歯みがきは奥歯の外側を優先
猫の歯垢がたまりやすいのは、上顎の奥歯(第4前臼歯)の外側です。全ての歯を完璧に磨こうとせず、ここを重点的にケアするだけでも意味があります。ガーゼを指に巻いて拭う方法から始めると、ハードルが下がります。
3. デンタルケア用のフードやおやつを取り入れる
粒が大きめで、噛むときに歯の表面をこすりやすい設計のデンタルケア用フードもあります。ただしこれだけで歯垢が完全になくなるわけではないため、あくまで補助的な位置づけとして考えます。
4. 水をしっかり飲める環境を整える
水分摂取が十分だと口の中が乾燥しにくく、唾液による自浄作用も働きやすくなります。給水器を複数箇所に置く、循環式の給水器を使う、ウェットフードを混ぜるなどの工夫で、飲水量を確保しましょう。
5. 年1〜2回の口腔チェックを習慣に
健康診断のたびに口の中を見てもらうことで、飼い主さんが気づけない初期の変化を拾えます。シニア期は年2回を目安に、成猫期でも年1回は口腔内の確認をお願いしておくと安心です。
受診時に伝えるべき6つの情報
動物病院での診察時間は限られています。事前に情報を整理しておくことで、獣医師が状況を把握しやすくなります。
1. いつから、どんな変化があったか
「1週間前からドライを残すようになった」「3日前からよだれが増えた」など、時系列で伝えます。日付の記録があると精度が上がります。
2. 現在食べられているもの・食べられないもの
ドライは無理だがウェットは食べる、といった情報は、痛みの程度を推測する手がかりになります。
3. 体重の推移
直近3か月程度の体重変化を伝えます。数値がなくても「抱いたときに軽くなった気がする」といった主観的な情報でも役立ちます。
4. ワクチン接種歴とウイルス検査歴
FIV・FeLVの検査を受けたことがあるか、結果はどうだったかは重要な情報です。保護猫の場合は、迎えた時期と経緯も伝えます。
5. 既往歴と現在服用中の薬
腎臓病や糖尿病など、既に診断されている疾患があれば必ず共有します。サプリメントを与えている場合もその内容を伝えます。
6. 多頭飼いの状況
同居猫の頭数、他の子に同様の症状がないか、新しく猫を迎えた時期などは、感染性要因を検討する材料になります。
| 伝える情報 | 準備方法 | 役立つ場面 |
|---|---|---|
| 症状の経過 | メモに日付付きで記録 | 進行速度の把握 |
| 食事内容 | フードのパッケージを撮影 | 栄養状態の評価 |
| 体重推移 | 月1回測定して記録 | 全身状態の判断 |
| 口内の写真 | スマホで撮影(無理をしない) | 受診時に嫌がる場合の補助 |
よくある質問
- 猫の口内炎って自然に治ることはありますか?
- 人間の口内炎のように数日で自然に落ち着くケースは、猫では期待しにくいと考えられています。特に歯茎の広範囲が赤くなっているタイプは、放置すると食事量の低下から体重減少につながることがあります。様子見の期間は長く取らず、変化に気づいた段階で動物病院に相談することをおすすめします。
- 口臭がきついだけでも病院に行くべきですか?
- 口臭は口内環境の変化を示す分かりやすいサインです。特に「以前と比べて明らかに強くなった」「生ゴミや金属のような匂いに変わった」場合は、歯周病や口内の炎症が背景にある可能性があります。食欲や体重に変化がなくても、次回の健康診断で口腔内を見てもらうよう相談してみてください。
- よだれが増えたら口内炎の可能性が高いですか?
- よだれの増加は口内トラブルを示す代表的なサインの一つですが、それ以外にも異物が口に入った、有毒な植物や薬品をなめた、吐き気がある、といった原因でも起こります。よだれが急に増えた場合は、周囲に猫が口にしそうなものがなかったか確認し、同時に食欲や元気の有無もチェックしてください。
- 歯みがきをしていれば口内炎は起きませんか?
- 歯みがきは歯垢の蓄積を抑え、口内環境を良好に保つうえで有効な習慣です。ただし猫の口内炎はウイルス感染や免疫バランスの乱れなど、歯垢以外の要因も関わるため、歯みがきだけで完全に回避できるとは言えません。日々のケアと定期的な健康診断を組み合わせることが、健康維持のサポートにつながります。
- 多頭飼いの場合、他の猫にうつりますか?
- 口内炎そのものが直接うつるわけではありませんが、背景に猫カリシウイルスやFIV、FeLVなどの感染がある場合、食器の共有やグルーミングを通じて他の猫に感染が広がる可能性があります。1頭に症状が出た際は、他の子の口内状態も確認し、必要に応じて獣医師にウイルス検査について相談してください。
- シニア猫が食べなくなったとき、どのくらい様子を見ていいですか?
- シニア猫では、まったく食べない状態が24時間続いたら受診を検討してください。猫は絶食が続くと肝臓に脂肪が蓄積する肝リピドーシスのリスクが高まると言われており、特に体格の大きい子や肥満気味の子では注意が必要です。「少しでも食べていれば大丈夫」ではなく、いつもの量の半分以下が3日続く場合も相談の目安になります。
- 口の中を見せてくれない場合はどうしたらいいですか?
- 無理に開けさせると、猫が口周りを触られること自体を強く嫌がるようになり、その後のケアが難しくなります。見せてくれない場合は、あくびの瞬間や毛づくろい中を狙って観察する、食べ方や口臭・よだれといった間接的なサインで判断する、という方法に切り替えましょう。診察は獣医師が安全に行えるため、気になる症状があれば無理をせず受診してください。
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まとめ|小さな食べ方の変化を見逃さないことが第一歩
猫の口内炎は、いきなり重い症状として現れるわけではありません。「カリカリを残すようになった」「顎の下が少し湿っている」「口の匂いが変わった」といった、日常のなかの小さな違和感が最初のサインになります。猫は痛みを表に出さない動物だからこそ、飼い主さんの観察が唯一の手がかりになる場面が多いのです。
特別な道具は必要ありません。撫でるついでに顎の下を触る、月に1回体重を測る、たまに唇をめくって歯茎の色を見る。この3つを習慣にするだけで、変化に気づける確率は大きく変わります。多頭飼いの場合は、食事を分けて残量を把握する工夫も加えてみてください。
そして何より大切なのは、気になったときに早めに動物病院へ相談することです。原因の特定や適切な対応は獣医師の領域であり、自己判断で市販薬や民間療法を試すことは避けてください。日々の観察と専門家の診察、この両輪が愛猫の口の健康を守ることにつながります。
この記事のまとめ
・初期サインは「食欲低下」より先に「食べ方の変化」として現れやすい
・ドライを残してウェットは食べる場合、口の痛みを疑う手がかりになる
・よだれの増加・口臭の変化・グルーミング減少も重要な観察ポイント
・24時間以上食べない、よだれに血が混じる場合は速やかに受診する
・月1回の体重測定は、主観を補う最も信頼できる観察ツール
・多頭飼いでは食事を個別に分け、誰がどれだけ食べたか把握する
・自己判断で人間用の薬や消毒液を使わず、必ず獣医師に相談する



