キャットフードの安全性は表示で確認|原材料・成分表・添加物の読み方(ランキングに頼らない選び方)

愛猫に与えるキャットフードを選ぶ際、「どのフードが安全なのか」「危険な原材料が含まれていないか」と不安に感じる飼い主さんは少なくありません。結論からお伝えすると、キャットフードの安全性はランキングの順位だけで決まるものではなく、パッケージに記載された原材料名、成分表示、目的表示を正しく読み解くことで判断できます。
この記事では、特定のフードや原材料を過度に危険視するのではなく、国内法や業界自主ルールに基づいた表示の仕組みを解説します。愛猫の健康維持をサポートするために、飼い主さん自身がパッケージや公式サイトの記載を確認し、納得して選べるようになる判断基準をわかりやすく整理しました。
安全なキャットフードを見分ける前に押さえたい3つの前提
キャットフードの表示を見分ける前に、まずは知っておきたい基本的なルールが3つあります。法律で義務づけられている項目と業界の規約による項目を区別することが、客観的に安全性を確認する第一歩です。
前提1:国内法で義務づけられた表示は5項目
日本国内で販売される犬用・猫用のペットフードには、ペットフード安全法と、その関連省令(愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令)が適用されます。同法において、パッケージへの表示が義務づけられているのは以下の5項目です。
・名称(犬用又は猫用)
・原材料名(原則として添加物を含むすべての原材料を表示)
・賞味期限
・事業者の氏名又は名称及び住所
・原産国名(最終加工工程を完了した国)
この法律は販売用のペットフードを対象としており、製造工程や成分規格の基準が定められています。なお、関連省令について環境省のページでは最終改正が平成26年8月20日と記載されています(2026年10月6日確認。その後の改正の有無は未確認)。
前提2:目的や成分値は業界の公正競争規約による表示
私たちが普段目にする「総合栄養食」といった目的や、たんぱく質などの成分表示、内容量、給与方法などは、法律ではなく「ペットフードの表示に関する公正競争規約」(業界の自主ルール)に基づいて記載されています。
| 表示項目 | 法律か規約か | 表示から分かること |
|---|---|---|
| 名称・原材料・原産国など(5項目) | ペットフード安全法(国内法) | 猫用であること、使用された原材料、加工された国、製造者・販売者 |
| 目的表示(総合栄養食など) | 公正競争規約(自主ルール) | 毎日の主要な食事か、おやつや副食などの目的食か |
| 成分分析値(保証値) | 公正競争規約(自主ルール) | 事業者が保証する主要栄養素の最低または最高割合 |
| 適応する成長段階・給与方法 | 公正競争規約(自主ルール) | どのライフステージに向けた食事か、与え方の目安 |
このように、パッケージに書かれている情報は法律に基づく部分と、適正な情報提供のために規約で定められた部分が組み合わさっています。
前提3:順位ではなく確認項目で客観的に見分ける
公正競争規約では、科学的な根拠なく他社製品について「安全ではない」「危ない」「病気になりやすい」「有害」と表示したり、客観的な根拠のない「最高」「No.1」といった表現を使ったりすることが不当表示として禁止されています。
これは事業者の表示に関するルールですが、本記事もこの考え方を参考に、特定の商品を危険と断定したり、根拠のない独自ランキング順位を付けたりすることはいたしません。購入前に「確認すべき情報が明記されているか」をチェックする順番の目安として読み進めてみてください。
原材料表示で確認する4つのポイント

パッケージの裏面にある原材料欄は、愛猫の体に入るものを知るための最も基本的な手がかりです。記載のルールを正しく知ることで、客観的な判断ができるようになります。
1.添加物以外の原材料は使用量の多い順に並ぶ
原材料欄の並び順には明確な規則があります。公正競争規約により、添加物以外の原材料を使用重量の多い順に記載し、その後に添加物を記載することになっています。
原材料欄の最初から最後までが単純に多い順に並んでいるわけではなく、添加物は使用量に関わらず後半にまとめて記載される点に注意しましょう。
2.順序で分かるのは多い順のみで配合割合は分からない
原材料欄を見ることで、添加物以外の素材が「どの順番で多く使われているか」は把握できます。しかし、それぞれの原材料が全体の何パーセント含まれているかという具体的な配合割合や絶対量は、表示からは読み取れません。
これは米国のAAFCO(米国飼料検査官協会)のラベル解説でも同様に説明されており、重量順であることと詳細な配合比率が公開されていることは区別して理解する必要があります。
3.「肉類」「穀類」などの分類名表示の仕組み
原材料名は個別の素材名だけでなく、「肉類」「穀類」といった分類名で記載することもペットフード安全法および公正競争規約で認められています。そのため、分類名で書かれているからといって、法令違反や品質の低さを意味するわけではありません。
ただし、愛猫に特定の食物アレルギーが疑われる場合、分類名表示では個別の原材料を特定しにくいことがあります。ペットフード公正取引協議会によると、食物アレルギーのあるペットの存在や飼い主の関心の高さを背景に、分類名のみの表示は近年ほとんどないようだと述べています(統計ではありません)。
4.穀類や副産物の定義を正しく理解する
原材料に含まれる「小麦ふすま」「小麦胚芽」「米糠」「コーングルテンミール」などは、公正競争規約の分類表において「穀類」加工物として扱われます。
また、製粉の副産物(小麦ふすまなど)について、米国のAAFCOは適切な加熱処理などを経て安全に使用できる栄養源であるという見解を示しています。「副産物であること」自体が安全でない、あるいは栄養がないという意味ではありません。体質に合うか気になる場合は、原材料欄で使われている原材料名を確認し、動物病院に相談しましょう。
成分表・目的表示の読み方3ステップ
キャットフードが愛猫の健康を維持するために適した食事かどうかは、目的表示と成分分析値から判断します。以下の3つのステップで確認を進めましょう。
ステップ1:目的表示で「毎日の主要な食事」か確認する
公正競争規約では、フードの目的を「総合栄養食」「間食」「療法食」「その他の目的食」のいずれかで表示することが義務づけられています。
・総合栄養食:新鮮な水と一緒に与えるだけで、各成長段階の健康を維持できるよう調製された毎日の主要な食事
・その他の目的食:一般食、副食、栄養補完食など。総合栄養食ではないため、補うために与える食事の内容や量の明記が必要
・間食:おやつ、スナックなど
・療法食
主食として与える場合は、必ずパッケージに「総合栄養食」の表記があるかを確認してください。
ステップ2:適応する成長段階を確認する
総合栄養食には、適応する成長段階が必ず明記されています。規約で定められている成長段階は「哺乳期」「幼猫期/成長期」「成猫期/維持期」「妊娠期・授乳期」の区分です。
なお、哺乳期を除く成長段階を満たす製品には「全成長段階」や「オールステージ用」と記載されます。市販のパッケージで見かける「シニア用」などの表記は、確認した規約の成長段階には挙がっていないため、商品に書かれた対象と目的表示を確認しましょう。
ステップ3:成分保証値の読み方を把握する
成分表には、事業者が保証し得る値が重量百分比(%)で記載されています。実測の含有量そのものではなく「保証値」である点と、「以上」「以下」の付き方に注目しましょう。
| 成分項目 | 表示の付き方 | 読み方のポイント |
|---|---|---|
| たんぱく質(粗たんぱく質) | 〇〇%以上 | 最低限保証されている下限値。猫の健康維持に欠かせない栄養素 |
| 脂質(粗脂肪) | 〇〇%以上 | 最低限保証されている下限値。エネルギー源や嗜好性に関わる |
| 粗繊維 | 〇〇%以下 | 最大限これ以下に抑えられている上限値。食物繊維の目安 |
| 灰分(粗灰分) | 〇〇%以下 | 最大限これ以下に抑えられている上限値。ミネラル分の目安 |
| 水分 | 〇〇%以下 | 最大限これ以下に抑えられている上限値。ドライフードの保存性等に関わる |
なお、本記事では数値の良し悪しの基準は示しません。主食にできるかどうかは保証値の大小ではなく、ステップ1の総合栄養食表示とステップ2の成長段階で確認しましょう。
AAFCO表示の位置づけと注意点
海外産フードのパッケージなどで「AAFCOの栄養水準を満たす」といった定型文を見かけることがあります。AAFCO(米国飼料検査官協会)のモデル規則は公式な規制そのものではなく、米国の多くの州が自州の法令に取り入れている基準です。
日本国内においても参考にされる基準の一つですが、法的な強制力を持つものではありません。日本向けに販売されている製品に記載があるかどうかは、商品ごとに確認が必要です。
添加物の表示で確認したい5つのポイント
キャットフードに使用される添加物についても、法律や規約によって表示ルールや上限基準が定められています。不安を解消するために、正確なルールを押さえておきましょう。
1.用途名が併記される添加物を確認する
公正競争規約により、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色剤の6種類については、物質名だけでなく「用途名」も併記することが義務づけられています。
例えば「酸化防止剤(ミックストコフェロール)」のように、どのような目的で使用されているかが表示から確認できるようになっています。
2.酸化防止剤の役割と表示例
酸化防止剤は、フードに含まれる油脂などの酸化を防ぎ、保存性を高める目的で使用されます。例として、ミックストコフェロールやローズマリー抽出物が挙げられています。
3.着色料の目的と確認方法
着色料は、製品を着色して色調を調整する目的の添加物です。用途名表示で使用の有無と目的を確認できます。
4.一括名で表示できる添加物のルール
添加物のなかには、個別の名称ではなく一括名での表示が認められているものがあります。具体的には、香料、調味料、酸味料、乳化剤、pH調整剤などです。そのため、原材料欄には「香料」とだけ簡潔に記載されている場合があります。
5.国内で定められた成分規格と製造基準
ペットフード安全法に基づき、特定の成分には国内の基準値が設けられています。
・BHA、BHT、エトキシキン:猫用フードにおいては合計量150μg/g以下(製品の水分含有量を10%として算出)
・プロピレングリコール:猫用の販売用ペットフードへの使用は禁止
なお、犬用フードではエトキシキン単体に75μg/g以下という追加の上限がありますが、猫用は合計量150μg/gの基準が適用されます。
補足・参考
ペットフード安全法には使用可能な添加物のポジティブリストはなく、事業者の責任において安全な添加物を使用する仕組みとなっています。また、農林水産省のQ&Aでは添加物の使用は必要な場合に限り必要最小限の量にとどめるよう事業者に求められていますが、これは事業者向けの留意事項であり、消費者への危険性の警告ではありません。
愛猫の状況別に確認したい4つのポイント
キャットフードはすべての猫に共通して同じものが合うとは限りません。愛猫の年齢や体質、飼育環境に応じたチェックポイントを確認しましょう。
1.子猫・成猫:成長段階に応じたフードを選ぶ
子猫期には「幼猫期/成長期」、大人の猫には「成猫期/維持期」に対応した総合栄養食を選びます。多頭飼いなどで年齢の異なる猫がいる場合は、「全成長段階(オールステージ用)」の表示がある製品を選ぶのも一つの方法です。
2.シニア猫:対象表記と健康状態を確認する
先述の通り、「シニア」は規約上の成長段階区分には含まれていません。高齢期を迎えた猫には、パッケージに記載された対象年齢や目的表示を確認しつつ、噛む力や食欲のコンディションを観察してあげましょう。持病がある場合や食事量が落ちてきたときは、自己判断せず動物病院に相談してください。
3.食物アレルギーが気になるとき
米国コーネル大学の解説によると、猫の食物アレルギーの多くは普段の食事に含まれるたんぱく質や炭水化物に由来します。一般的にキャットフードで使われる牛肉、豚肉、ラム、鶏肉、七面鳥、卵などのたんぱく源が対象となり得ます。
食物アレルギーはどの年齢でも、また同じ食事を長年食べ続けてきた猫でも起こる可能性があります。愛猫にかゆみ、皮膚の異常、脱毛などが見られる場合は、ノミなどの他の原因を除外するためにも、速やかに獣医師の診察を受けましょう。原材料欄で使われている原材料名を把握しておくと、獣医師への相談もスムーズになります。
4.多頭飼いの場合の食事管理
室内で複数の猫を飼育している場合、猫ごとに年齢や体格、好みが異なることがあります。同居猫同士でフードを共有する場合は、それぞれの猫に適した目的表示や成長段階を満たしているか確認し、個別の体調変化にも気を配りましょう。
愛猫の食事を見直しませんか?
気になる商品は、公式サイトで原材料・成分・目的表示を確認してみましょう。
カナガン キャットフード チキン モグニャン キャットフード アランズナチュラルキャットフード マックアダムズキャットフード
掲載4商品を公式情報で確認したい4つの項目
次の4商品を検討する際は、公式情報で以下の4項目を確認してみましょう。
・カナガンキャットフード チキン
・モグニャンキャットフード
・アランズナチュラルキャットフード
・マックアダムズキャットフード
商品のリニューアル等により原材料や分析値が更新されることがあるため、購入前に公式サイトやパッケージの最新表示をチェックしましょう。
| 確認項目 | 見るべき場所 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 1.目的表示と適応成長段階 | パッケージ正面または裏面 | 猫用であること、「総合栄養食」の表記があるか、愛猫の年齢(成長期、維持期、全成長段階など)に合っているか |
| 2.原材料の記載方法 | 原材料名欄 | 使用されている主原料(肉や魚など)が個別名で明記されているか、添加物の用途名が併記されているか |
| 3.主要成分の保証値 | 成分分析表 | たんぱく質や脂質の「〇〇%以上」、粗繊維や灰分の「〇〇%以下」の値を確認する |
| 4.AAFCO等の基準表示 | 製品詳細・説明欄 | 海外基準の適合文言がある場合、どのライフステージを対象に設計されているか |
給与量などは各公式サイトやパッケージの記載を確認してください。愛猫の好みや体質に合わせて公式の原材料表を確認し、迷う点や体調面の不安がある場合はかかりつけの動物病院へ相談してください。
よくある質問
- キャットフードの安全性は何を見れば分かりますか?
- パッケージに記載された原材料名、目的表示(総合栄養食か)、適応する成長段階、成分保証値、添加物の用途名表示を確認することが基本です。法律で義務づけられた5項目(名称、原材料名、賞味期限、事業者情報、原産国名)と、業界規約による表示を合わせてチェックしましょう。
- 原材料の一番最初に書かれているものが一番多く入っていますか?
- 公正競争規約により、添加物以外の原材料は使用重量の多い順に記載されます。そのため、最初に記載されている素材が最も多く使われている原材料となります。ただし、各原材料の具体的な配合割合までは表示からは分かりません。
- 穀物副産物が入っているフードは避けたほうがいいですか?
- 米国のAAFCOは、適切な加熱処理などを経た副産物は安全に使用できる栄養源であるという見解を示しています。副産物だからといって安全でない、あるいは栄養がないとは一概に言えません。アレルギーが気になる場合は自己判断せず、動物病院に相談しましょう。
- BHAやBHT、エトキシキンが入っているフードは危険ですか?
- 国内のペットフード安全法において、猫用フードではエトキシキン・BHA・BHTの合計量が150μg/g以下と上限が定められています。酸化防止剤は用途名つきで表示されるので使用の有無を確認できます。不安な点があれば動物病院に相談しましょう。
- 総合栄養食とそれ以外のフードは何が違いますか?
- 総合栄養食は、新鮮な水と一緒に与えるだけで健康を維持できるよう栄養調整された毎日の主食です。一方、一般食や副食などの「その他の目的食」は総合栄養食ではないため、補うために与える食事の内容や量がパッケージに明記されます。
- AAFCOの基準をクリアしていれば日本でも安心ですか?
- AAFCOは米国の基準であり、日本国内では参考にされる基準の一つという位置づけです。法的な認証制度ではないため、適合表示の有無だけでなく、製品ごとの原材料や成分保証値をご自身で確認することが大切です。
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まとめ|愛猫の食事は客観的な表示チェックで見極める
この記事のまとめ
・キャットフードの安全性はランキング順位ではなく、原材料・目的・成分の表示を自分で確認して見極める
・ペットフード安全法で定められた義務表示5項目と、公正競争規約に基づく目的表示や保証値を区別して理解する
・商品の仕様は公式サイトの最新情報を確認し、アレルギーや体調に関する不安がある場合は動物病院へ相談する
「危険」「安全」といった断定的な言葉に惑わされず、ルールに基づいたパッケージの記載を丁寧に読み解くことで、愛猫にぴったりのフードを選びやすくなります。毎日の食事を通して、愛猫との健やかな暮らしをサポートしてあげてください。



